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「おんぶしてみんなの運気をアゲる!代々木公園のオヤジ」 リトル・ディッパー小林良男さん

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「暇を欠く店」と書かれた看板、謎めいたお店の正体とは?

近年、新しく洗練されたおしゃれなお店が次々とオープンしている代々木公園駅の近辺に、「暇を欠く店」と書かれた看板が出ていて謎めいた佇まいのお店があるのを知っていますか。

お菓子屋さんなのかカフェなのか、それともバーなのかよくわからず、入る勇気がないまま時が経っていましたが、最近、知り合いから「ここのお店では、店主におんぶされると運気が上がるという伝説があるらしい」と耳にし、取材とかこつけて行ってみることに。

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恐るおそる入ってみると、店内は民芸品、CD、本、ダーツ、張り紙など年季の入ったモノたちがあちこちに蓄積されていて、どこか懐かしさがあり心が落ちつくような浮世離れした空間が。どうやら「暇を欠く店」は、初老の店主が独りで切り盛りしている「リトル・ディッパー」という名のカフェ&バーだったのです。

今回、リトル・ディッパーの店主・小林良男(こばやし よしお)さんからいろいろとお話を伺っていくうちに、「おんぶされると運気が上がる」という伝説がつくられる理由がわかったような気がしました。

騒がしい六本木の飲み屋から逃れて、代々木公園で洋菓子屋さんに転身

英語で「こぐま座」を意味するリトル・ディッパーは、昭和60年にオープンし、今年で創業34年の代々木公園界隈では老舗的な存在。オープン当初はクッキーを売る洋菓子屋さんだったそうですが、現在はクッキーの販売を継続しながらカフェ&バーとしてランチと夜のバータイムに営業しています。

店主の小林良男さんは、現在65才。新潟県出身でインテリアの専門学校に通うため上京し、家具の会社に就職するも社員と大喧嘩をし、気分転換に栄養士の資格を取って飲食業界に転向したというユニークな経歴をお持ちでした。

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ーー代々木公園の街に、このお店をオープンした経緯を教えてください。
元々は六本木で飲み屋を数年やっていたんだけど、騒がしさから逃れたくてもっと静かな街で店を開こうと思ったの。

当時は横浜に住んでいたんだけど、学生時代に青山の喫茶店でバイトをしていた時の友人がこの街に下宿していたから、よく渋谷のディスコに遊びに行った帰りに泊まっていて。

富ヶ谷は、調べたら代々木公園のそばだし原宿や渋谷にも近いってことがわかって、不動産に行ったらすぐにここの物件が見つかったんだよ。それですぐにこの店をオープンして、あっという間に30年以上経ってしまった。

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ーーなぜ、飲み屋からお菓子屋さんに転身したんですか?
お菓子作りは昔から興味があって、夏休みに軽井沢で和菓子屋でバイトをしてたから、独学で学んだの。

当時は隣にキャトルという有名な洋菓子屋の工場があって、うちはクッキーを作るために卵黄しか使わないけど、隣の工場は卵白が必要だったから、卵をお互い分け合ったりしていた。いいアイデアでしょ?

オープンした頃はお菓子のグラム売りが流行っていて、常に20種類くらいのクッキーを作っていたから「狭くても儲かるお店」として雑誌で取り上げられて話題になった時代もあった。その後、次第に景気が悪くなったから、また飲み屋としてお酒や料理を出すようになって今みたいなお店になったんだよ。

お客さんの共通点は、みんな寂しがり屋なこと。

ーーどんなお客さんが多いんですか?
ここら辺は、デザイン事務所や制作会社に勤めていたり自営業の人も多いから、個性があるお客さんがほとんどだね。共通点は、みなさん寂しがり屋なこと。だから独りで来るお客さんが多いよ。

お店の入り口に「暇を書く店」っていう看板を置いてあるのは、「暇でブラブラしてるなら、ここで休んで行きなさい」という気持ちを込めているから。

そもそもどうして飲み屋のことを「BAR」っていうのか知ってる?元々は馬をつなぐ棒のことで、そのうち馬が車になって人間が羽休めをする場所に代わったんだ。

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会社が終わってそのまま家に帰るよりは、ここで気分転換してなるべく楽しい気分になって家に帰って、また明日を迎えて欲しい。仕事でストレスを抱えてくるお客さんが多いから、私が話し相手になってあげることもあるよ。

「袖振り合うのも他生の縁」ていう言葉があるように、お客さんは前世のどこかで出会って理解できないことがあって別れたけど、きっと何かの縁があってうちに来ていると思う。だからもう一度、ここで語り合いながら理解してみよう!そう思えるとみんな寂しくなくなってくるものなんじゃないかな。

ここでは、自分のリビングと同じように、周りのことを気にしないで飲んで欲しい。時にはだらーっと気を抜いても寝てもいい。そんな感じでいい意味でルーズなお店だから、若いお客さんでも気軽に遊びに来てくれるんだよ。

ーー世代が違う若いお客さんとは、どんなコミュニケーションをとってるんですか?
私はもう65才、家とお店の行き来を繰り返しながら生活していると、アンテナが古くなってしまう。

だから、若いお客さんに今流行ってることとか、新しい遊びを教えてもらうの。店内に設置しているダーツもお客さんが教えてくれたし、ゴルフも興味があったから「俺も連れて行ってくれよ」ってお客さんに頼んで練習場に連れてってもらったりして。このお店に来たお客さんから世の中の情報をいろいろと教えてもらっているから、お客さんは私にとって有り難い存在なんだよ。

そうやって30年が過ぎているのがすごく心地いい。だからこれからも健康である限り、ずっとこの店を続けていきたいと思っている。

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ーー芸能人の方もふらっとプライベートでお店に来ると噂を聞きましたが…
2002年位かな、4月1日のエイプリルフールに「長い間お世話になりました。本日閉店します」って張り紙をお店の外に貼ったことがあって。

そしたら可愛い女の子が「今日で閉店だって書いてあったから、かわいそうだなと思って」といいながら入ってきて、どこかで見たような顔だなーと思ったら、グラビアアイドルから女優になった佐藤江梨子ちゃんだったの。それから撮影でロケに行った時はお土産持ってきてくれたりして、4年くらい通ってくれたんだよ。

最近では、ロックアーティストの竹原ピストルズくんかな。彼も一人で来てくれて、「ヘンテコな名前だなあ」と正直にいったらCD置いていった。

劇作家の三谷幸喜くんは、子供を病院に連れて行った間に来て、よほど気に入ってくれたみたいでうちのお店のことをコラムに書いてたくれたり。

おんぶをされた人は、みんな照れ臭そうなイイ表情をする!

ーー小林さんがお客さんをおんぶするようになったのはいつからですか?
私が誰かをおんぶするようになったのは、親父が最初かな。親父が心臓を患ってから亡くなる2,3年前まで家族の思い出を増やそうと、日光や草津に出かけるようにしていて。体力がない親父は「疲れた」といって歩けなくなったから、私がおんぶしてあげるようになったの。親父が他界してからは、田舎に帰る度にお袋をおんぶするのが恒例になったんだよ。

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そんな様子を息子が呆れながら撮った1枚がこれ。写真に映ったお袋は照れ臭そうな顔をしていて、これがまたいい表情でねぇ!

おんぶをされた人は、みんな照れ臭そうな顔をするんだよ。その表情を見たくてお店に来たお客さんをおんぶするのが趣味のひとつになったんだ。

テレビ局に勤めているお客さんも「マスターがおんぶしたら運気が向いて番組がヒットした!」と喜んでから、ヒット祈願に新人の役者を連れてくるようになってね。女優の吉田羊さんも、私がおんぶしてからテレビや映画に出るようになったらしい。結婚したい人から子どもに恵まれたい人、恋人が欲しい人まで、かれこれ1,700人位おんぶしてるかな。

ーーどうして、小林さんがおんぶした人は運気が上がるんですか?
実は、運気が上がる秘密は、おんぶじゃなくて脳改革をしてるからなんだよ。おんぶする時、私はみんなにこう言ってるの。

「苦しい状況にある人は『大変だ』ってよく口にするけど、大変っていう言葉の本当の意味は『大きく変わる』であって、ここでちょっと踏ん張れば、いい方に変わるぞ!ってことなんだよ」って。

うちのお客さんの95%の人は同じ不安を抱いてる、それは未来のことなんだ。

未来はこれからやって来るものであって、今不安になっても意味がない。だから、いいことだけをイメージして、ものを考えていくことが大事なんだ。そのことに少しでも気づくことができるお客さんは、自ずと運気が上がっていくんだよ。

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他にもある!リトル・ディッパーの楽しみ方

リトル・ディッパーの楽しみ方は、小林さんにおんぶしてもらうだけではありません。小林さんの手で創り出した店内の空間は、一見の価値ありです。

小林画伯の妖艶なる絵画

お父様が画家だったこともあり、小林さんが描いた絵画作品もお店の各所に展示されています。

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しかもほとんどが女性の裸体をモチーフにした作品で、ほどよいエロス感が薄暗く混沌としている店内にピッタリ。作品を購入したいという外国人のお客さんもいるとか。自宅には約600点もの作品が所蔵されているそうで、画家としてのセンス溢れる小林さんも垣間見れます。

子供も喜び大人もほっこり!バルーンアート

カウンター天井には、バルーンアートが吊るされていて、これがまたドラえもんやスーパーマリオなど完成度が高いこと。このバルーンアート達ももちろん小林さんが作ったもの。

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プロのバルーンパフォーマーにコツだけ教えてもらって、独学で練習を重ねて腕を上げ、毎週新しい作品をこしらえて吊るしているんだそう。

お店に来た子どもにはクマさんを、女性にはブレスレットを作ってプレゼントしたり、時には老人ホームのイベントに出張してボランティア活動も行ったりと、人を喜ばせる術をいくつも持っている小林さん。

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「運気が上がる」という伝説の背景にあるもの

「寝る時は必ずいいことを考えて寝るように!『今日は快便でよかった』とか些細なことでもいいから、イイコトを考えて脳を喜ばせて寝ると、明日もまたイイコトが起るもんだよ〜」

帰り際、私にそう言ってくれた小林さんは、背中をポンと押してくれる、まさに代々木公園のオヤジのような存在に感じてきました。

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このお店リトル・ディッパーで小林さんがおんぶすると「運気が上がる」という伝説があるのは、小林さんの愛情が込められた言葉や創作物に触れることで、不安や悩みが前向きな気持ちに代わって元気になる人が沢山いるという証なのかもしれません。

 

リトル・ディッパー
住所:東京都渋谷区富ケ谷1丁目6−7  1F
電話:03-3467-8285
営業時間:ランチタイム 12:00~16:00  
/ バータイム 19:00~翌01:30
定休日:日曜日

 

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