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料理界の常識を変える。「競争」ではなく「共創」する。「sio」オーナーシェフ鳥羽周作の今とこれから。

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代々木上原で強烈な個性を放つ「sio」鳥羽周作とは?

代々木上原という街の魅力ってなんでしょう。閑静な高級住宅街と下町の良さが残る商店街が共存し、そこに個性のあるショップが点在していることで、散歩しているだけで楽しい街。でも、そんな街はもしかしたら他にもあるかもしれない。代々木上原が持つ一番の魅力は、そこに住む人、働く人、訪れる人たちがつくりあげるオンリーワンな“空気感”や“ムード”ではないでしょうか?

今回は、代々木上原のなかでも強烈な求心力をもち、ほかにはないムードを創り出しているキーパーソンを訪ねてみました。モダンフレンチの名店「sio(シオ)」の鳥羽周作オーナーシェフです。サッカー選手と小学校の先生という異色の経歴を持ち、エネルギッシュで親しみやすい人柄が印象的なシェフです。

クリエイターを刺激する“場”をつくること

上原ラバーであれば、前身である「Gris(グリ)」の時代から知っているいるという方も多いのではないでしょうか? 東京で最も勢いのあるレストランと称されるまでの有名店に押し上げたのが鳥羽周作さんなのです。2018年にオーナーであった丸山智博氏から「Gris」を買い取り、同年7月にオーナーシェフとして「sio」をオープン。以降も、客単価20,000円という決して安くはない食事代でありながら、連日予約で満席の状態。

訪れる客層は各界の著名人や料理人、アーティストやデザイナーなど個性豊かなキャストたち。そして美しい器でプレゼンテーションされる料理は、目にも舌にも想像を軽やかに超える刺激と興奮を与えてくれます。

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鳥羽シェフが独自の発想で創り上げるフレンチベースの現代料理。芸術的なまでの美しさにうっとり…。

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飲食店にとって、料理が美味しいということは何よりも重要なこと。しかしながら「sio」にはそれだけじゃない、五感のすべてを満たしてくれるサービスがあります。店舗のロゴデザインにはじまり、音、器、グラス、おしぼりなど、お店のムードを作るディテールすべてに鳥羽さんのこだわりと哲学が宿っているのです。

鳥羽:「土地柄もあると思うんですけど、『Gris』の時代からクリエイターのお客さんが多かったんです。『Gris』を買い取って自分の店をつくろうと決めた時から、いつかクリエイターを集結させた圧倒的なコンテンツを詰め込んだ“現代の茶室”をつくりたいという構想があって、『sio』はそのための仲間集めの場所にしようと思ったんです。レストランをプラットフォームと捉えて、一人暮らしの部屋のテーブルのように、手を伸ばせばリモコンもお茶も全部取れるみたいな状況にしたかった。クリエイターが自然に集まる場になっているというよりは、目的があって、狙ってそういう場づくりをしています」

ロゴデザインからおしぼりまで、すべてハイクラスを追求する

クリエイターが集まる場にする。「sio」立ち上げと同時に掲げたコンセプトを貫くために、まずはロゴマークをgood design campanyのクリエイティブディレクターである水野学氏に依頼。テーブルウェアは気鋭のプロダクトデザイナー鈴木啓太氏に、店内の選曲はKyoto Jazz Massiveの沖野修也氏に依頼するという徹底ぶり。トップクラスのクリエイターに店づくりに関わってもらうことで、“場”としての価値を高めたのです。

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good design campanyの水野学氏によるロゴデザイン。

鳥羽:「水野さんは以前からお客さんとして来てくださっていて、思い切ってお願いしたら快く引き受けてくださったんです。水野さんがロゴをデザインしてくれるんだったら、店内のインテリアも音楽も器もすべてセンスのいいものにしようとこだわりました。沖野さんが選曲してくださった3時間半分の音楽がJBLのスピーカーから流れて、お客さんは有線のように同じ音楽をかぶって聞くことがない。ファンクもジャズもポップも流れます。鈴木さんがつくってくださった造形の美しい器はお客さん同士の会話のきっかけにもなる。おしぼりは今治タオルのイケウチオーガニックさんのものを使用しています。普通は飲食店でここまで食材以外のことにお金をかけることはないと思うんです。でもうちはクリエイションも原価の一部として捉えているので、客単価は安くない。それなりの料金をいただいています。でも、心地よい音楽が流れるなか、この器やグラスで美味しい料理が楽しめるんだったら2万円出してもいいかなと、そう思っていただけるお客さんが集まるんです。それは代々木上原という場所ならではだなと感じています」

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店内ではJBLのスピーカーから沖野修也氏による心地よいBGMが流れる。

料理業界の常識を変えるビジネスモデル

「sio」は現在、ほかの飲食店に比べると圧倒的な利益率の高さだといいます。それは、オープンから時間が経ち、クリエイション費が減価償却されたことでトータルの原価が抑えられるから。これは鳥羽さんが狙って生み出したビジネスモデルで、目的はそこで得た利益を従業員に還元することや、未来への投資です。

鳥羽:「料理業界の給料体系の現状を変えたかったんです。僕ら料理人は下積みからはじめて、ようやくシェフになれたとしても、雇われシェフの身であればほとんど給料は変わらないんです。下積み時代は小遣い程度だし、死ぬほど働いても3人の家族を養っていくことは難しい。せめて自分の店では、スタッフに年齢給を担保できる店をつくろうという思いがあったんです。今は年齢給以上払ってますよ。食材のサステナブルっていう前に、まずは人材のサステナブルでしょって、ずっと思ってたんですよね」

スタッフは宝だ。そう語る鳥羽さんですが、採用の基準をたずねると即答で「センス!」の返答。

鳥羽:「星付きレストランで働いてたとか、そんなのどうでもいいですね。とにかくオシャレじゃないとダメです。もともと僕自身がめちゃくちゃ洋服が好きで、給料を全部洋服につぎ込んでたくらい好きってこともあるのですが、服にこだわりがないやつが美味しい料理作れないでしょって思っちゃう。あとはカルピス好きがどうか!」

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「クリエイションしてる人の服がダサいってカッコ悪くないっすか?」と服愛についても語ってくださいました!

「巻き込みたかったら巻き込まれろ!」

クリエイターを集め、料理業界の常識を変える。そんなビジョンを掲げて舵を切った鳥羽シェフですが、いま、さまざまな業界を応援することにも力を入れています。日本一包丁を研ぐのが上手な職人と契約したのも日本の伝統技術を支えたいという思いからでした。

鳥羽:「包丁研ぎって今は続けていくのが難しいんですよね。どうにかその素晴らしい才能を救うことができないか、有名シェフとプロ契約を結んだら食べいていけるんじゃないかと思い、まずは僕が一人目の契約者になりました。包丁って大事ですからね。あとは日本フットボールリーグに所属する『奈良クラブ』のスポンサーにもなっています。これは奈良クラブの社長でもある中川政七商店の中川淳さんが掲げた『サッカーを変える、人を変える、奈良を変える』という奈良クラブのビジョンでした。奈良クラブが自分たちの活動を通じて変わり方を学び、勇気を持って踏み出す。それが多くの人に波及して、奈良の街が変わっていくことだ、と。その話を聞いて、即答で「スポンサーにさせてください!」と手を挙げたんですよね。サッカーや教育は僕が今まで関わって来たことでもありますし、このプロジェクトに関わっている方も魅力的な方ばかりだったので、迷いはなかったです。自論ですが、巻き込みたかったら巻き込まれろ、お金を貯めたかったらお金を使えって、決めてるんです」

今年9月には丸の内に新店舗が誕生!

奈良クラブの試合の日には店を閉めてスタッフを連れて奈良に行き、ハンバーガーをつくる。1日お店を休んでさらに出張となるとそれなりの出費。それでも価値のあることにはお金は惜しまないというのが鳥羽シェフのポリシー。さらには今年9月、丸の内に50席の新店舗「o.sio(オシオ)」もオープン予定だというから驚きです。料理業界改革プロジェクトとして、外部からの出向スタッフを意欲的に取り入れるつもりだといいます。

鳥羽:「2店舗目を考え出したのは、うちの店で働きたいとアプローチしてくれる若い子が多いのも理由の一つなんです。今『sio』で9人雇ってるんですけど、15坪で9人って多すぎなんですね(笑)。毎回断るたびに心苦しくて、だったら彼らの受け皿を作っちゃおうと。新店舗を若い料理人のための投資の場と位置付けて、大手企業からの出向も受け入れようと思っています。たとえば〇〇企業のスタッフが一年間うちで働いて、技術を学んで帰る。そういった技術のオープンソースもやりたいと思っているんです。外とつながることで、自分たちの哲学や思想を広めることができるし、逆に新たな刺激も得られますからね」

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未来を動かすチカラは“愛とリスペクト”しかない!

「o.sio」の「o」はお正月の「お」。「sio」をもっと大事にしたいという思いを込めたのだそう。料理人のアウトソーシング計画の賛同企業も増え続けているといいます。丸の内の次は青山にアートをテーマにしたレストランを、青山の次は現代の茶室を。鳥羽シェフと未来の話をしていると、思わず自分も巻き込まれたくなります。32歳で料理界に転職し、下積みから上り詰めた鳥羽シェフを突き動かすエネルギーはいったいどこからくるのでしょうか?

鳥羽:「ひと言で言えば“愛とリスペクト”ですね。いままでいろんな方々に支えてもらって今があるので、感謝を返したいという気持ちが大きいんです。あとは単純に性分ですかね。仕事が好きなんですよ。利益出てるから派手にお金使ってそうに見えるかもしれませんが、家は埼玉で借家ですからね。地味に電車で1時間かけて通ってます(笑)。僕自身はいい家に住みたいとか、ベンツに乗りたいとか、そんな欲はないんです。強いて言えば好きな服を着ていたいくらい。結局、他者との関わりの中にしか多幸感ってないんですよね。全然休んでないので家族には申し訳ないけど……」

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2時間たっぷりお話ししてくださった後にパチリ。ネイビーのワントーンでまとめて足元はニューバランス!

鳥羽シェフは自分のことを「現代のわらしべ長者」だと呼んでいます。他者と関わることで情報交換をし、インプットし、アップデートする。一年に12人の知識人と対話をすれば一年後の自分の引き出しは必ず増える。だから、本を読む感覚で人に会う。料理をしながら店に立つのが楽しくてしょうがないとも言います。人の話を一生懸命聞き、一生懸命話す。「競争」ではなく、「共創」したいという思いに、たくさんの人が共感して集まってくるのですね。鳥羽さんのような先生が小学校にいたらきっとめちゃくちゃ人気者ですね。

鳥羽:「結局いつも道徳の授業になっちゃうんですよ。とりあえず外に出てみんなでドッジボールしようぜ! みたいな(笑)。ひとまず明日は久々の休みなんで、息子たちと鉄道博物館に行ってきます!」

sio
【住所】東京都渋谷区上原1-35-3
【営業時間】17:00〜21:00スタート、12:00〜12:30スタート(ランチは土日祝のみ)
【定休日】水曜
ランチコース コース6皿 5,800円〜
ディナーコース コース10皿 10,000円〜
【web】HP / Instagram

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