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「音楽家による、どこにもないワインショップの作り方」wineshop flow 深川健光

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自然派ワインとの出会い。

ー自然派ワインの魅力に目覚めたのは、祥瑞(SHONZUI)で働き始めたことが大きかったのですね。
音楽がきっかけで働き始めたのですが、祥瑞のオーナーは日本でもいち早くヴァン・ナチュールを扱い始めた人で、いわば聖地のようなお店なんです。僕自身、自然派ワインは働くようになって初めて飲んだのですが、飲み続けるうちにどんどんのめり込んでいきました。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ー自然派ワインに本格的にのめり込んだ瞬間みたいなものはありましたか?

あの日あのとき!というよりも、どちらかといえば、じわじわハマっていったほうかもしれないですね。はじめて飲んだときは、美味しい、というよりは衝撃を受けました。「アルザス」のリースリングをいただいたのですが、沢庵みたいな味がする!とおもいました。

ー沢庵!(笑)

しばらく飲み続けているうちに、なんだか「がんばらずに飲める」とおもったんです。

自然派ワインを飲み始めるまでは、ワインってちょっとがんばって飲まなきゃいけないイメージだったんです。おいしいけど、飲みすぎると頭が痛くなってしまったりして。自然派はそれがなくて、ほんわかした酔いで、すごくいいなーとおもって。

 

「家で飲むのが好き」から生まれた、あたらしいワインショップ

ー独立は、お店に勤めているときから考え始めていたのですか?
いえ、実は自分でお店をやることはそこまで考えていなくて。6年ほど勤めて、そろそろ自分ができることはこのお店ではなくなったかな、辞めて次の道を探そうと考えはじめた頃に、オーナーから「新しくミュージックバーをやる準備を進めていて、そこを任せたい」という話をいただいて。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow
それならば、とおもって、しばらく残っていたのですが、物件がなかなか決まらなくて、話が半ば立ち消えになってしまったんです。

ーおお〜なるほど、、
これから先どうしよう?とおもったときに、ふと「もし自分がお店をやるならどんなものがいいだろう?」と考えてみたんです。僕は家で飲むのが好きなタイプなので、バーっていうのはちょっとちがう。メインはワインショップだけど、ただお酒が買えるだけというよりも、人が集まって、何かあたらしい交流が生まれるような場所がいい。酒屋もあって飲める、形態としては角打ちなのかなと。そういったイメージを最初に描きました。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ほぼ思い描いていたイメージ通りになった、というお店のつくりや構造は、はじめに健光さんの頭のなかが出発点となり、〈パドラーズコーヒー〉や〈kabi〉の内装デザインも手がけた気鋭のデザイナー「MILE STONE」長田篤氏らによって具現化された

ー物件もすぐに見つかりましたか?
そこからは、とんとん拍子で進みました。知人のお店の物件をよく決めていた不動産の方にはじめに相談して、たまに顔だしてもらわないと忘れちゃうからねーといわれていたので、1週間後くらいにひょっこり訪れてみたら「求めているところかどうかはわからないけれど、ちょうど今日1件あたらしく出たよ」と。幡ヶ谷なんだけどね、と。それがこの物件でした。

ー幡ヶ谷には土地としてゆかりがあったのでしょうか?
暮らしたことはなかったのですが、パドラーズコーヒーとは以前から交流があったり、ル・キャバレーで友人が働いていたりと、馴染みはすこしありました。

たしかその日のうちにここを見にきたんです。即決で、翌日には申し込んで物件の契約が決まりました。

ーものすごいスピードですね。
運がよかったです。ちょっと広いかな、ともおもったのですが、ひと目見て、ここだったらちょうど半分をワインセラーにして、半分を飲めるスペースにしよう、とすぐにイメージも固まったので。

ーすぐに着工に入ったのですか?

いえ、前の方の契約が7月末まで残っていて、宙ぶらりんの時期がありました。着工したのが9月からで、オープンが12月ですね。

ーそれでも、構想からわずか半年でオープンですよね。かなりの急展開です。
いろんなことがタイミングよく決まっていきましたね。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ー内装もとても特徴的ですが、デザイナーの方とはどのようなお話をされたのでしょうか?

長田さんとは、とにかく何度もお話させてもらいました。ふたりで一緒に福岡まで行って、アンティークの照明を買い付けたりちょっとした小旅行みたいなこともしつつ。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ー空間が贅沢すぎて、角打ちという言葉で言い表せないような気がします。

ちょっとわかりづらいですよね(笑)。まだあまり「ワインショップ」としては浸透していなくて、「ワインを飲めるところができたらしい」といった口コミで、来てくださる方がおおいです。ここで買えるんです、酒屋なんですよ、というと「え!?そうなんですか!?」って驚かれます。

ーいまのところ、飲み屋さんとして噂をききつけて来店する方が多いと。

根付くには最低でも3年ぐらいはかかるのかなと思っていて。そこは時間がかかるかなと割り切っています。

中野〈松㐂〉の煮込みや下北沢〈フェーガト・フォルテ〉のパテなど、交流のある人気店からおつまみを取り寄せている

 

どのようなワインを選んでいるか。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow
ーワインはどのような基準で買い付けているのでしょうか?
できるだけ、身体に優しいものというのが大前提で、あとは音楽の好みとも似ていますが、雑食なんですよね。ワールドミュージックから、R&B、むかしのソウルやジャズ、なんでも聴くのですが、ワインも国やジャンルはあまり関係なく、飲んでおいしいと感じるものを選んでいます。
定番ものも押さえつつ、ほかでは見つかりにくい掘り出し物もおいています。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ワインは1本/2,000円台〜10,000円以上のものまで、幅広くラインナップ。1本につき抜栓料3000円で、店内で飲むこともできる

ーワインを選ぶ際に、抑えておくべきポイントはありますか?
抜栓すると翌日味がおちてしまうものがあるので、1日で飲み切るのかどうか、何日ぐらいかけて飲むのかはきくようにしていますね。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow

ーお客さんはどのような方がおおいですか?
どちらかというとまだ、好きだけど、これから知っていこうという方はおおいのかなという気はしますね。
すでに詳しい方は、なにも言わずにマニアックなものを買っていかれるのですが、今の所、そういったコアなものばかり減っていく、というわけでもないので。

ーこのお店をきっかけに、自然派ワインにハマる人が増えていきそうですね。

ワインは、飲むシチュエーションやコンディションに大きく左右されるところもあります。なので、名前は知ってて飲んだことがあったけれど、これってこんなに美味しかったの、となることもあるんです。

ーなるほど。音楽でも、同じ曲でもたしかに聴く環境でまったく良さが変わりますもんね。

たしかに、買い付けや、どのワインを薦めるか考える作業はDJをやるのと近い感覚ですね。まだ知名度はないけど、推したいものもあれば、みんなが知っているような定番のものも、最大限のおいしさを引き出す提案をできるようにとおもっています。このあいだ、普段白ワインしか飲めないけど、ここで飲んで、赤ワインをはじめておいしいとおもった、と仰ってくれた方もいて。そういった体験をしてもらえるのは嬉しいですね。

 

どんなワインがあるのかを一括りに説明するのはなかなか難しい!ということで、wineshop flowのセレクト観が伝わる4本を選んでもらいました。

1本目:ブルゴーニュでつくられている、シャルドネのスパークリング。砂糖などの糖分、添加物を加えずに、発酵の過程で自然発生する泡を閉じ込めたもの。

注目すべきは、このラベル!髭を描けば、健光さんにそっくり!?ということで、守り神のようにワインセラーの四隅にディスプレイされているそう。「新作では、酔っ払っているのか目が充血したデザインに変わっていて、そのユーモアも好きです」と健光さん。

自然派ワインのなかでは定番。ボジョレーのガメイ。じんわり身体に染み入ってくるような、やさしい味わいが特徴。flowが扱うワインのなかでも、スタンダードな立ち位置。まずはじめの1本、としてもおすすめ。

カベルネソーヴィニョンとカベルネフランのブレンド。飲み口は軽めで清涼感がありつつも、タンニンの渋みも感じることができる。

フランスのサヴォワ地方の、モンドゥーズという土着の品種。アルコール度数が10.5%っていう軽めで、飲み口もフレッシュ。食事にもあわせやすい。

 

音楽とワインの共通点とは?

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow
ー音楽とワインに共通していることはありますか?

つくる工程でいうと「頭だけでは生まれない」ところですかね。
ワインづくりは、レシピもあるとおもいますが、気候や風土にあわせて自然とともにつくりあげるものです。音楽に関しても、ロジックだけで機械的につくる部分もありつつ、人の心を打つものは、説明しようがない、その人ならではの発想から生まれることが多いです。

代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow
ショップの運営、酒屋さんという点に関しては、レコード屋さんをやるのと近い感覚だと思います。
各インポーターの試飲などを通じて、買い付けていくのですが、回を重ねるごとに知識やつながりも生まれていきます。
あの人が、あのレーベルがリリースするなら間違いないな、とか勘所もついていく。仕入れて、収集して、いかに魅力を伝えることができるか。扱うものはちがいますが、レコード屋さんやDJとやっている行為・役割は同じですね。

ディスプレイとして、音楽とつながりのあるワインボトルもカウンターにさりげなく配置。セックス・ピストルズやクラッシュ、ダフト・パンク風のラベルデザイン。「『WINE CALLING』はワインの生産者に焦点を当てたドキュメンタリーで、ステッカーをいただいたので貼ってみました」と健光さん。

ー最後に、今後の展望について教えてください。
ワイン屋としてぜひ気兼ねなくいろんな方に足を運んでもらえると嬉しい、というのと、音響にこだわってお店をつくっているので、イベント、、というほど大層なものではなくとも、なにか音楽にまつわる催し物もやっていきたいと思っています。はじめの話にもありましたが、この界隈はおもしろい人がたくさんいるし、ワインや音楽はあくまできっかけのひとつとして、人が集まって、新しい出会いや発見、つながりが生まれれるような場所にしていきたいです。

 
代々木上原 西原 幡ヶ谷 自然派ワイン ヴァン・ナチュール  ワインショップ flow
<SHOP INFORMATION>
wineshop flow
住所:東京都渋谷区西原2-28-3 クローバービル B1
電話:03-6804-7341
営業時間:月〜土 / 15:00~0:00 日曜・祝日(翌日が平日の場合) / 15:00~20:00
URL:https://wineshop-flow.business.site

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