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1月19日。OPRCTオープニングイベントレポート! BIGYUKI × OPRCT 代々木上原に到来した未来

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代々木上原にクリエイターズスタジオ「OPRCT」の誕生。音楽シーンの新しいトビラが開く

代々木上原のクリエイティブスタジオ「OPRCT」の誕生により、アウトプットとインプットの距離は最短化へ。一言で言うならば“日常から音楽が生まれる場所”。1棟のビル内に撮影スタジオ、イベントスペース、ライブスペースに加え、コミュニティスペースまで完備。かつてカニエ・ウエストがホテルを借り切ってアーティストを住まわせ、そこでアルバム制作を行ったという話がありますが、OPRCTはそれに近い印象を受けます。1月19日にBIGYUKIAnna Wiseを迎え、華々しくオープニングイベントを飾ったわけですが、その様子には前途洋々の未来を感じました。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原

BIGYUKIが代々木上原「OPRCT」に登場!1月19日(土)はもうすぐ!


代々木上原から世界につながるビル「OPRCT」のつくりかた vol.1

BIGYUKIとAnna Wiseとは

まずはBIGYUKIとAnna Wiseについて。OPRCTのこけら落としイベントに彼らが出演したことがどれだけ素晴らしく、これからの指針としても如何に重要であったのか。

ニューヨーク在住の日本人キーボード奏者であるBIGYUKI。日本の高校を卒業し、アメリカの超名門音楽大学「バークリー音楽院」に入学します。このときの同級生にはクリスチャン・スコット(エスペランサ・スポルディングやトム・ヨークと共演するトランペッター)やケンドリック・スコット(名門ブルーノート・レーベル所属のドラマー)らがいます。その後、USヒップホップの雄、A Tribe Called QuestやTalib Kweliらと制作やツアーを共にするわけです。さらっと書いてますが、よく聞く「海外でも高い評価を受け~」のような売り文句とは次元が違う話ですね。現行ジャズの最先端、Robert Glasperとも共演を果たしております。

OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
Anna WiseはKendrick Lamar(No.1ラッパーと言って差し支えないでしょう)と共演したことで、一躍その名を知らしめました。そう聞くと、R&Bやソウルのイメージが先行しそうなものですが、彼女の場合はその範疇にとどまりません。ライブ中にヴォーカルを多重録音するなど、エクスペリメンタルなアプローチを取る場面も見受けられます。シンセベースの使い方にも妙がありますね。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原

これはBIGYUKI、Anna Wise双方に言えることですが、彼らは必ずしも特定のジャンルには収まりません。BIGYUKIはダンスミュージックのフィールドで戦っても抜群の才能を発揮したでしょうし、Anna Wiseも同様でしょう。

個人的に素晴らしく思ったのは、この日会場に来ていたオーディエンスにも、彼らの音楽的な多様性が反映されていたこと。ソウルやR&B、ジャズを聖域とする方々だけでなく、様々な層の音楽ファンがOPRCTのフロアを埋めておりました。Aphex Twinのパーカーを着た人、電子音楽の老舗レーベル<Warp Records>のショッピング・バッグを持った人、UKインディーレーベルの代表的存在<4AD>のパーカを買ってから会場へ駆けつけた人…。ジャンルに縛られることなく、“普遍的な良い音楽を求めた結果、ここへたどり着いた”といった様子。

OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
実は筆者も、Warp Recordsのショッピング・バッグを“これ見よがし”に持って会場内を闊歩しておりました(当日は某所でガレージセールがあったのです。紫色のロゴが入ったビニールバッグを持っていた人は、大体の割合でその帰りだったのでしょう)。ジャズやR&Bは大好きだけれど、BIGYUKIとAnna Wiseがそこのみに回収されてしまうのはあまりに勿体ない。老婆心ながら、そう思っておりました。

そうしたら本当に老婆心だったんですね。言われるまでもなく、彼らをあるジャンルに押し込めるような聴き方をしている人はいませんでした。演奏が素晴らしかったのはもちろんのこと、オーディエンスも含めたOPRCTの雰囲気は最高でありました。音楽は良いもんですね。リテラシーを高めれば高めるほど、コミュニケーションの手段として大いに機能します。そこに言葉はいらない。Warp Recordsのバッグを腕からぶら下げておくだけで記号的に意思の疎通ができる。素晴らしい。

BIGYUKI、圧巻のライブ

そろそろ肝心なライブの話をしましょうか。この日のステージはBIGYUKI feat. Anna Wiseでしたから、対バンという形式ではありません。BIGYUKIのパフォーマンスの要所要所でAnna Wiseが登場する。そういう編成でライブは進行しました。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
BIGYUKIが演奏する「Simple Like You」や「Mala」の合間に、舞台袖からAnna Wiseが出てきて自身の楽曲「Precious Possessions」や「Balance in All」を披露するもの。先に述べた音楽的な多様性が、ライブではさらに顕著になります。「Simple Like You」は明らかにトラップ*に寄せているし、それに伴い低音がかなり強めに仕上がっていました。3人でこの音像を創り上げていること自体驚異的ですが、何より素晴らしいのはアイデア。“トラップのボキャブラリーをジャズのマナーで表現してみよう”、なんて、誰も思いつかない。連続するハイハットも完全に再現されておりました。同じアプローチの「Burnt N Turnt」も本当凄かった…。
*トラップ:ハードコアヒップホップから派生した音楽のジャンル。連続するハイハットと、強い重低音が特徴。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原

そして、彼らの超絶プレイに応えるOPRCTのサウンドシステムも特筆すべきでしょう。反響音までも完璧に設計された音作り。この日はどんな楽曲にも対応できていたので、弱点らしき弱点は見当たりませんでした。低音もよく鳴り、ヴォーカルも滑らかに聴こえ、ブリンブリンなシンセベースの音までクリアに聞き取れる。完全無欠。例のヴォーカル多重録音「Precious Possessions」も、打ち込みなしのライブで表現していましたが、完璧でした。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原

アンコールでAnna Wiseが歌ったのは、アメリカのネオソウルシンガーD’Angeloの「Another Life」のカバー。あれだけ好き勝手やって、最後に王道へ帰ってくる。こんなの、好きにならないわけがない。ここへ来てD’Angeloってあなた…。しかも「Another Life」という、痒い所に手が届く選曲。この曲、BIGYUKIのキーボードが確かに映えますね。

で、この曲の次が本当に最後。Anna Wiseがはけた後、ラストにBIGYUKIが持ってきたのが、ASAP Fergの「East Coast Remix」。実は個人的に一番聴きたかった曲です。というのも、生で観るまでは本当に楽器で演奏しているのが信じられなかったから。いや、だってコレですよ…。

この複雑なメロディをリアルタイムで生成し、なおかつリズムが全くズレない。こんな離れ業が人間に出来るとは思わないじゃないですか。実際に念願叶った身から申し上げますと、どう聴いても、どう見ても生演奏でした。3人全員、人間辞めてました。
OPRCT,BIGYUKI,代々木上原

端的に申し上げて大満足。Warpのバッグをクロークから持ち出し、ドキドキが収まらない状態でフロアを出ました。

ライブの感想をコミュニティスペースで語り合うこともできるので、この日は時間を忘れて音楽の話に没頭しました。計6時間くらいは、OPRCT内に居たかもしれません。これ見よがしにWarpのバッグを持っていた成果もあり、何人かに「あ、今日のガレージセール行かれたんですか?」を声をかけられました。クリックひとつで他者と繋がることも可能な現在、こういうアナログな出会いはかえって新鮮に感じます。もしや、未来はこの辺りにあるのでは。

セットリスト
M00 Intro -> on stage
M01 Mobb Deep
M02 Red Pill
M03 Paradise Descended
M04 Simple Like You
M05* Precious Possessions* with Anna Wise
M06* Balance in All* with Anna Wise
M07 Mala
M08 Nunu
M09 Burnt N Turnt
EC01* Another Life* with Anna Wise
EC02 East Coast MF

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■ BIGYUKI LIVE IN JAPAN 2019 Feat. Anna Wise
DATE: 2019.01.19 sat.
PLACE: OPRCT (渋谷区上原1-29-10 OPRCT)

text:YUKI KAWASAKI

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