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木漏れ日の中で格別な一杯が味わえる。唯一無二のコーヒースタンド「nadoya no kaTte」

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昨年の7月にスタートした、代々木上原にある話題の店「nadoya no kaTte」。店名からはどんな店か想像がつきにくいですが、実は、その美味しい味や店の雰囲気で、記憶に残る一杯が楽しめるコーヒースタンドです。

 

営業は、金・土・日曜の週末を中心とした週3日。空き家だった築60年の一軒家を改修して作られ、大きな看板もないので、うっかりしていると店と気づかず通り過ぎてしまいそう。

 

 

入り口に飾られているコーヒーカップとコーヒー豆。瓶入りのコーヒー豆は購入できる

門からアプローチを登ると、立派な玄関がお目見え。そのまま玄関横の飛石を進むと、木漏れ日が美しい庭が現れます。砂利が敷かれ、灯籠が建つ庭には木のベンチや椅子が並び、奥には解放感あるガラス張りのカウンター。そこからコーヒーが提供されています。この場所を表現するなら、「とにかく気持ちがいい」。その一言に尽きるような気がします。

 

 

建物の魅力である「庭」×コーヒーという実験的仕掛け

今回お話を伺ったのは、nadoya no kaTteを主催、プロデュースする建築家の岡村俊輔さん。建物を作ってきた経験から建築の新たな価値を生み出せないかと考え、2020年にエトセトラを意味する「〜など」をもじった「などや」というプロジェクトをスタートさせました。

岡村さん:「戦後から豊かさの象徴として今でも建てられ続けている庭付き一戸建て。でも今後は人口の減少やライフスタイルの多様化で、新たに家を作り続ける必要はまずないと思うんです。でも建築業界のビジネス構造や世の中の仕組み上、新たに建物を作るという考えや動きは簡単には止められない。その結果、古くなった空き家が壊されている現状があります。
だからと言って、古い建物を残そうという発想になるわけではなくて、”壊して建てる”というメインストリームを別の側面から見て、そこに収まらないようなものを作る方が価値があるんじゃないかと思ったんですよね」

 

などやにとって、恵比寿にある空き家をギャラリーに改修した「などや恵比寿」(現在は建て壊しのため閉館)が最初の拠点で、nadoya no kaTteは二店舗目。どちらも利用されずに取り壊しが決まっている空き家を借り、人が集まって創造的な交流ができる場を目指してきた。そのために、展示やアトリエ、カフェやプライベートキッチン、レジデンスなど、建物の風合いを活かした仕掛けを考えて、実験的に改修を続けている。

特に使い方を決めず、大きな桜の木が決め手になって借りた代々木上原の空き家。岡村さんは、蚊と戦いながら荒れ果てた庭の改修を進めるうちに、この庭の情景を見ながらコーヒーが飲めたらと感じてカフェを検討し始めたそう。

岡村さん:「恵比寿のギャラリーを作った経験から、人が集まる場所の価値を感じました。ギャラリーは一回来たら、なかなか次の足が向かない。だから二店舗目はずっと誰か人がいる場所にしたかったんです。レストランだと人は集まるけれど、滞在時間が長く人が入れ替わらない。そもそも毎日食べたいと思うメニューも少ない。でもコーヒーなら毎日気軽に店に来るきっかけになりやすいですよね。あとは、室内ではなく庭に席を作ることで、この建物ならではの良さを活かしながら、来る人同士が繋がれる場所になるのではと思いました」

コンセプトが決まれば、その後はコーヒーに詳しい仲間の紹介を経て、神保町にある「グリッチコーヒー&ロースターズ」にコーヒースタンドの運営を委託。元々お風呂と勝手口だった場所を改修したので店名を「nadoya no kaTte」と名づけ、昨年7月から本格的にスタートしました。

 

桜や梅、桃、紫陽花に紅葉。四季が感じられる緑溢れる庭

 

企画展を行う庭横のギャラリー。ギャラリーとして使用していない時は、好きな椅子をチョイスして室内でコーヒーを味うこともできる

 

ここでしか味わえない、厳選された浅煎り豆&バリスタとのコーヒートーク

シーズンによってラインナップは変わりますが、店頭には常時8〜10種類の豆が並んでいます。豆本来の味わいを楽しんでもらいたいとの思いから、提供されているのは、すべて浅煎りの豆。さらに豆の果実味を楽しんでほしいとの思いから、砂糖やミルクの提供はなく、あえてブラックしか出さないそう。

 

それだけお店のコーヒーや豆への思いが強いと、飲む人を選ぶ敷居の高い店なのでは…と不安に思うかもしれませんが、その心配は杞憂。バリスタによる丁寧な接客がこのコーヒースタンド最大の魅力です。

 

バリスタの豊田裕平さん。飲み方に合わせたベストな豆を教えてくれる

 

バリスタは皆さん知識豊富。味の好みを伝えると、産地、加工方法、アロマや味わいについて説明してくれ、飲むべきおすすめメニューを教えてくれます。

「オペレーション上難しい時もありますが、なるべく実際の豆を見ていただきながら精製方法の特徴をお伝えしたり、香りを体験していただきたい」とバリスタの豊田さん。

例えば、エチオピアという豆。もちろん名称は聞いたことがありますが、「果実味がある赤ワインやフローラル、ベリーのような味わいで、ラテでミルクと合わせた時にベリーチョコレートみたいな味わいを醸し出してくれますよ」と豊田さんに教えてもらうと、頭ではなく口の中で味を疑似体験した感覚になり、そのコーヒーをリアルに飲みたい衝動に駆られます。

 

飲んだコーヒーがどんな特徴だったか忘れないように持ち帰ることができる。コレクションされるお客さんもいらっしゃるそう

コーヒーと共に提供いただけるのが、オーダーした豆の香りや味、加工方法などの特徴をメモしたテイスティングノート。飲んだコーヒーを忘れないためのサービスで、自分の好みやコーヒーの知識を蓄積できる仕組みになっています。

 

 

実際に飲ませていただくと、コーヒーにしっかり香りと味わいがあることに驚きます。最近浅煎りのコーヒーを飲む機会が増えましたが、それらのさっぱりした印象とは別物。これがさっきバリスタに解説してもらった香りや風味だなと解説を反芻しながら少しずつ味わうのが贅沢で楽しい。コーヒー一杯でこれほどまでの充実感や満足感が味わえる体験は初めてでした。

 

 

豊田さんにおすすめの来店時間を聞くと、朝10時とのこと。午前中は太陽の色彩や木漏れ日が美しく、特に今の季節は新緑が映えて気持ちが良いのだとか。12時以降は混み合うので、ゆっくりコーヒーを味わいたい人は是非午前中を目指してもらえたら。

木の下で美味しいコーヒーを飲む。ものすごくシンプルだけれど、実はそんな気持ちの良い場所がないのも事実。ここでしか味わえない体験に幸せを感じつつ、建て壊され貴重な場所がなくなってしまう2年後を思うと、今から切なさも感じます。

お客さんが使う表玄関に比べて、家主や近所の人が出入りするなど気軽に使える勝手口。その名の通り、気軽に足を運び、好きな席に座って至福の一杯を楽しんでみてください。木漏れ日やなびく風が気持ちいい絶好のコンディションもあれば、雨や雪などの悪天候、蚊の多い時期などもあるので、タイミングの読みも大事。でも間違いなく、記憶に残る一杯が味わえるはずです。

 

nadoya no kaTte

【住所】東京都渋谷区西原3丁目19−3

【営業時間】9:00~18:00  金・土・日

【WEB】Instagram 

 

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