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忙しい日常の中で、あえて「手間」や「静寂」を楽しむ。ライフスタイルブランドLeiのプロダクトが生まれる背景

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井の頭通りでたくさんの人が行き交う代々木上原駅南の交差点。そのすぐそばに喧騒を忘れ、時間の流れや感性をフラットに整えられる空間があります。それが、ライフスタイルブランド「Lei(レイ)」のフラッグシップストア。
ショップに足を踏み入れると、外との空気感の違いに驚きます。照りつける日差しや音から遮断された、奥行きのある香り漂う空間。大きな窓から入る柔らかい光を受け止め、プロダクトの影。知らない世界への扉がこんな街中に存在していたと思うと、どこかうれしい気持ちに。

Leiは「心と身体を 0 というはじまりの座標へと戻す、光と影の美意識」というテーマを元に2020年に立ち上げられたライフスタイルブランド。ブランド代表であり発明家のナガトヤスユキさんがプロダクトを開発しています。プロペラが静かに回転するアロマディフューザー、ボトルのラベルを浮かび上がらせる日本酒セラーなど、Leiのプロダクトは前例のないコンセプトやデザインが特徴。今回は、ブランドマネージャーの佐藤さんに、ブランドのコンセプトやプロダクトの開発秘話を伺いました。

引き算の着想から生まれた、アロマディフューザー

――アロマディフューザーなどの家電から、お香やアクセサリーなど、プロダクトは多岐に渡っていますが、ブランドのコンセプトはありますか?

Leiのブランド名は数字の「0(ゼロ)」を意味し、「心と身体を0というはじまりの座標へと戻す、光と影の美意識」をテーマに、陰影の中に見出す静謐な時間のためのプロダクト・ラインとして展開しています。

日々の生活で、人は無意識のうちに情報や刺激を受け続け、感覚が少しずつ鈍っていきます。その状態から一度離れ、「心と身体を”0”へ戻し、再起動するためのきっかけ」が必要だと考え、使う方に寄り添い、使う方の”また動き出すためのきっかけ”となれるようなものづくりを目指しています。

光と影、空気の動き、素材の質感、香りの動きなどが静かに重なり合うことで、人の状態が少しずつ整っていくのではないかと考え、強く働きかけるのではなく、気づかないほどの変化で感覚に触れるものを意識しています。

――そのコンセプトのベースには、谷崎潤一郎の著書にある「陰翳礼讃」があるそうですね。どんな点に共感しましたか?

もともとナガトは、漆、特に蒔絵の表現に長く触れ、その素材の奥行きや美しさに強く惹かれてきました。漆は光の当たり方によって表情が変わり、はっきりと見せるのではなく、時間や視点の中で少しずつ立ち上がってくる感覚があり、またその構造自体に、美しさの本質があると感じていました。

その理由を探っていく中で「陰翳礼讃」という考え方に出会い、言語化されている感覚と、ナガト本人の中にあったものが重なる部分があり、陰影がもたらす奥行きや、空間への作用などをブランドやプロダクトの要素として取り入れました。

柔らかく美しい光で表情を変えるミラー、香りの液体がまどろむカードディフューザーなど、時間と場所によって異なる顔を見せるプロダクトを揃えています。


照明、アロマディフューザー、鏡が一体となったLei light reflection。ミラーの向きが変えられ、楕円型のフレームを持って運べる。日本に古くから伝わる照明器具、行燈を思わせるデザイン。

――光と影の美しさはフラッグシップストアの空間でも表現されていますね。最初に作ったプロダクトは何でしたか?

Lei non electric aroma diffuserです。電源を使わずに、ロウソクの熱源だけでプロペラをまわして風をつくり、その風に乗せて香りを広げる作りになっています。

職人が一つひとつ手間と時間をかけて仕上げる少量生産品。価格は¥38,500

――電源を使わずに香りが広がるんですね。なぜ最初にアロマプロダクトを作ったのですか?

アロマにこだわったわけではないんです。ナガトは元々家電のプロダクト開発者で、大量生産の現場で作りたいものを作れないジレンマをきっかけに、よりやさしく人や暮らしに寄り添うプロダクトを作ろうと開発をスタートしました。現代の家電は電源があれば動きますが、あえて電源を使わずに最小限のエネルギーで人の生活に寄り添うものを、と引き算の着想で辿り着いたのが、ロウソクの炎を活用して人を癒すプロダクトでした。

――ナガトさんの経験や心の動きから生まれたプロダクトだったんですね。おすすめの使い方はありますか?

コードレスなので、読書中のベッドサイドや、仕事中や会議中のデスクなど、いる場所に持ち運んで使っていただくのが良いかと思います。私は仕事終わりの帰宅後に部屋を暗くして使っています。自宅以外での使い道としては、キャンプに持っていき、夜の団欒でロウソクの光と香りを楽しんでいる方もいらっしゃいました。

――好きなアロマオイルを入れて使えるんでしょうか。

Leiオリジナルのエッセンシャルオイルをはじめ、お手持ちのアロマオイルをお使いいただけます。揮発するものであれば、オイル以外も使えますよ。お酒を入れたり、お茶葉を入れて茶香炉として香りを楽しむこともできます。

――新しい楽しみ方ですね。どんな方が購入されていますか?

1000個限定でオンライン販売していますが、実は予約数の半数以上が海外の方です。ディフューザーの完成直後に、ヨーロッパ最大級のインテリアデザインの展示会「メゾン・エ・オブジェ」に出たことが認知や反響につながりました。欧米やアジアなど21のデザインアワードで受賞も果たしました。

Lei non electric aroma diffuserはスタイリッシュなギフトボックスに梱包されている。大切な人の贈り物にぴったり。

――海外で人気が高い理由はどこにあるのでしょうか。

電源を使わずに火の熱だけで香りを運ぶ構造の新しさに魅力を感じていただいているのかと思います。あとは海外でZENやWABI-SABIなどの日本文化を求められている感覚があります。心が和み、無心になれる点で好評いただいています。Leiのブランドが世界で評価いただける喜びを励みに、今後はさらにプロダクトを通じて日本の美意識や哲学を世界に伝えていける取り組みを目指していきたいと思っています。

――なぜプロダクトを通じて、日本の美意識や哲学を伝えたいと思ったのでしょうか。

これは私の個人的な話になりますが、海外で生活した経験が大きいかと思います。幼少期からサッカーが好きで、プロサッカー選手としてイタリアとスペインで過ごしました。アートやファッションの感度が高いヨーロッパに暮らし、引退後に帰国した時に、改めて日本の文化の素晴らしさに気づいて。日本の魅力を伝えきれていないもどかしさがあったので、Leiを通じて日本文化の魅力を伝えていけたらと思いますね。

――素敵なご経歴ですね!アロマディフューザーの他に、日本文化を意識したプロダクトはありますか?

日本の伝統工芸である和紙を使ったLei card diffuserがあります。ホルダーに和紙を差し込んで使うことで、和紙とアルミから香りが広がるデザインになっています。

和紙は、和紙の原料である楮の発育が良く、水と相性が良い茨城県の西ノ内和紙を採用しています。和紙の質感や所作は、日本人が持っている独特の美意識と文化だと感じ、プロダクトとして寄り添うことで日本の素材や産業と共存できたらと思っています。

使い終わった和紙はクローゼットやお手洗いなどで香りの栞としても使える。用途を変えて寄り添ってくれる、心憎いデザイン。

 

拭き漆を施した、光と影が宿る場所

――今年の1月に代々木上原にフラッグシップストアを立ち上げた経緯を教えてください。

去年まではオンラインでの販売しか行っていなかったので、プロダクトのサイズ感や香りを試していただける体験できる場があればと思い、立ち上げました。

――フラッグシップストアの内装もプロダクト同様に素敵です。こだわった点を教えてください。

プロダクトが一番かっこよく見える空間を目指す中で、漆芸家の室瀬祐さんに監修いただき、展示台やカウンターに拭き漆という加工をしました。

漆は光を強く反射するのではなく、やわらかく光を受け止めて陰影の中で深みが現れる素材。拭き漆を施すことがブランドやプロダクトのコンセプトである「陰翳礼讃」に直結していると感じましたし、プロダクトを置いたときにしっくりきた感じがありました。


拭き漆は本来、箸や食器などに使われる技法。酸やアルコールに強く、メンテナンスをすれば長く使える。時間とともに表情が変化していく点も含めて、使う人の時間とともに変わっていくLeiのあり方と重なると感じたそう。

――なぜ代々木上原だったのでしょうか?

銀座や青山のような人が多い場所より、地域の方が愛着を持っているローカルな場所が自分たちのブランドらしいなと思って代々木上原を選びました。

――そうだったんですね。街の雰囲気はいかがですか?

ストアのオープンをきっかけに、地域のゴミ拾いに参加したのですが、代々木上原は長く住んでいる地元の方が多い印象を受けました。ジャンルを問わず素敵なお店が多い街だなと感じています。

 

ストアをギャラリーに。日本文化の発信地にできたら

――念願だったフラッグシップストアを立ち上げて、次なる展望があれば教えてください。

来月6月27日(土)から、Lei Gallery Tokyoを開設いたします。「Lei Gallery Tokyo」は、クリエイターそれぞれの表現を迎え、対話を重ねながら、素材・技術・文化に宿る美意識を分かち合える場所にできたらと思っています。その第一歩として、拭き漆を監修いただいた室瀬さんの初個展「山と雲を渡る」を開催予定です。

あとは、ライフスタイルブランドなので、日常に寄り添えるプロダクトを増やしていきたいですね。まだオンラインサイトには出していませんが、新商品として日本酒セラーを制作しました。

――Lei発の日本酒セラーとは気になります。詳しく教えていただけたら。

sakagura cellar (酒蔵セラー)という日本酒セラーで、「陰翳礼讃」の陰の美しさを表現しようと、照明でボトルのラベルを浮き上がらせるデザインになっています。お酒好きな方はボトルを眺めながら飲んで楽しんでもらえたら。上段下段それぞれの温度設定ができ、加温ができるのも特徴です。


ボトルを寝かせるセラーが多い中、あえて立てて飾る、スタイリッシュなLeiらしいデザイン。

――入れているお酒を温めることができるんですね。

通常のセラーは基本的に部屋の温度より高い温度での保管は難しいですが、20℃までなら加温可能です。

――最後に、ブランドとしての今後の目標があれば教えてください。

私たちのプロダクトを使っていただいたり、香りをお楽しみいただく中で、明日もまた頑張ろうって思っていただくことが自分たちの存在理由だなと感じているので、今後もより日常に寄り添えるプロダクトを展開できたらと思ってます。

取材中、写真撮影のためにアロマディフューザーのプロペラの止め方を伺うと、ロウソクの火を消して動きが止まるまで待たないと、と佐藤さんが教えてくれました。家電と聞くと、どこか機能や効率を期待してしまうもの。ですが、Leiのプロダクトは「時間を楽しむ装置」という表現が近いでしょうか。忙しい日常の中で、あえて「手間」や「静寂」の楽しみ方を教えてくれる存在なのだと感じました。

取材日は眩しい日差しが差し込む初夏の日でしたが、光が変われば影も変わる。朝や夜、晴れの日と曇りの日。天気や時間によって違った表情を見せてくれる空間は、訪れるたびにプロダクトの新たな魅力を感じられる場所になっていました。


お香は全部で8種類。これからの梅雨時期は、グレープフルーツと日本茶で和を感じるCashmere Musk、海辺の潮風を思い起こさせる爽やかなSea breeze Oudがおすすめだとか。

プロダクトの価格帯はさまざまで、ギフトにぴったりなアイテムも。Lei non electric aroma diffuserはじめ、Leiのプロダクトが気になった方はぜひその魅力を体験しに、フラッグシップストアを訪れてみてください。

 

Lei In Praise of Shadows Flagship Store

【住所】東京都渋谷区上原1-30-12 UEHARA TERRACE 1F(代々木上原駅 南口より徒歩2分)
【営業時間】12:00~19:00(定休日は公式Instagramをご確認ください)
【WEB】HP / Instagram

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