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「暮らす・遊ぶ・働く」すべてを正直に楽しむこと。「TRAIL HEADS」代表・山口陽平さん【いま、これから、代々木上原 vol.2】

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ネガティブな状況に陥った時に、自身を突き動かすのは「好き」のチカラ。

「好き」を仕事にしている人たちが、さまざまな状況を踏まえて「いま、今まで、少し先の未来」を、どのように考えているのか?

代々木上原という地で、未来を見つめる人たちにフォーカスしていく新連載【いま、これから、代々木上原】

第2回は、アウトドアや外遊びが好きな人たちが集まるコワーキングスペース「MAKITAKI」を運営している、TRAIL HEADS(トレイルヘッズ)代表・ 山口陽平さん。

コロナ禍によって働き方や遊び方も大きく変化し、テレワークやワーケーション、アウトドアが注目される昨今、これから私たちは、どのように働きながら、より快適な時間を過ごしていけばよいか?

そのヒントを得るために、すでに数年前からアウトドアやオフィス空間を通して「暮らしも、遊びも、仕事も」全部を楽しみながら、シームレスに生きることを追求している山口さんを深掘りしていきます。

TRAIL HEADS MAAKITAKI 代々木上原 山口陽平 コワーキング

自由な「働き方」を追求

ーーまずは、山口さんが、働く空間をデザインする「TRAIL HEADS」を創業した経緯を教えてください。

僕は、群馬県安中市という田舎の町で生まれ育ち、幼少期から頻繁に家族で登山やキャンプをしていたので、アウトドアを楽しむ習慣が身についていました。

都内の大学を出て、新卒で不動産会社に入社したのですが、会社組織の中では思うようにいかないことが沢山あって「これが社会人か…」と、すぐに仕事と自由とのギャップを感じてしまって。もっと面白く自由な働き方や働く場があるんじゃないかと、悶々としながらも、それを跳ね返すには実績を出すしかないと割り切って、がむしゃらに営業成績を上げることに勤んでいました。

それでもやはり既存の働き方に限界を感じていた頃、世界的なアウトドアブランド〈パタゴニア〉社の創始者イヴォン・シュイナードの著書『社員をサーフィンにいかせよう』を読んで、大きな衝撃を受けたのです。

世の中には、仕事と遊びが融合する働き方がある

パタゴニア社には、アウトドアスポーツを人生の生き甲斐にしている人々が集まっていて、働きつつも波がいい日はサーフィンをして、良質な雪が積もった時はスノーボードをする……そんな自由な勤務スタイルがあることを知りました。

仕事は「お金を稼ぐ」ためのもので、プライベートや自分のことを犠牲にしなくてはいけないのか?と悶々としていた当時の僕の働き方とは真逆を実践していて、「世の中には、仕事と遊びが融合する働き方がある」というのが救いになり、その後の働き方のバイブルになりました。

イヴォン・シュイナードの本をきかっけに「働き方」をもっと探求したくなって、オフィスや商業空間をデザインする会社へ転職。本業のかたわら知人に誘われて遊びに行った、フリーランスたちが集まるコワーキングスペース「 MIDORI.so」 の入居者メンバーたちと意気投合し、さまざまな働き方を深堀りするWEBメディア『BEYOND WORKING』を立ち上げました。メディアの企画を担当し、パタゴニア社をはじめユニークな仕事現場を取材しているうちに、「仕事をこんなに楽しいでいる人がいるのか!」と衝撃を受けました。

MIDORI.soで出会ったインテリアデザイナーや建築士の方と『DIY OFFICE』と名付け、破棄されるカーペットでソファを作ったり、IKEAの家具をカスタマイズしたり、スタートアップ企業のオフィスをDIYしたり……今までオフィス空間に携わってこなかったデザイナーやアーティストをはじめ、様々なクリエイターたちと組んでオフィスを作ることに夢中になっていました。

そうしたら、いつの間にか面白いチームが出来上がってきて、このまま自由な働き方を追求しようと、2014年8月に「TRAIL HEADS」の創業に至りました。

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アウトドアや外遊び好きが集う「MAKITAKI」

ーーTRAIL HEADSでは、どんな活動を行っているのでしょうか?

TRAIL HEADSは、「働く場」が持つ課題を解決するフィールド・デザインをメインの事業にしています。その他にも、トレーラーを改造した移動型オフィス「OFFICE CARAVAN」や、東京都檜原(ひのはら)村にある会員制キャンプ場「HINOKO TOKYO」の運営など、枠にはまらない空間を創造することと、遊びをプラスした働き方を実践しています。

都市と山をつなぐ拠点として、コワーキングスペース「MAKITAKI」の運営を始めました。MAKITAKIは、一般的なワーキングスペースではなく、キャンプや自然が好きだったり、アウトドアに関する仕事をしていたり、外遊びが好きな人たちが集まるコミュニティになっているのが特長です。

1階には、外遊びに行けるアウトドアギアを調達出来るセレクトショップとコーヒースタンドを、2,3階にワークスペースを設置しています。

働くことも遊ぶことも近い人たちが一緒に時間を過ごしたら、相乗効果で何か面白いことが起こるもの。まるで焚き火を囲むように、都心でもワクワクしながら仕事や遊びができる心地よい空間を作り続けたいと思っています。

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代々木公園・富ヶ谷は、自分らしくマイペースな人たちがたくさんいることで、街の心地よさを作っている

――オフィスやコワーキングスペースなど、山口さんの活動拠点を富ヶ谷に据えたのはなぜですか?

知り合いの建築家が紹介してくれた富ヶ谷の一軒家を、オフィスとして間借りし始めたのがきっかけです。その後、社員が増えたので同じエリアに移転しましたが、あまりにもこの街が心地良くて、狛江市にあった自宅も富ヶ谷に引っ越してきました。

ここ代々木公園エリアは、働くのに絶好の場所です。電車の便もいいし、IT系のスタートアップ企業はほとんど渋谷にあるので、自転車に乗って裏道から直ぐにアクセスできる。お客さんに会いにいく時も出社する時も、大混雑している駅を降りるのと、雰囲気がよいカフェやパン屋さんの前を通って向かうのとでは、仕事に向かう気持ちが全然違いますよね⁈

代々木公園や明治神宮はとても植生が豊かで、中途半端な郊外に行くよりもよっぽど自然が豊かで心も落ち着き、仕事も捗ります。住人や働く人も、若い人から年配の方まで様々な人々でコミュ二ティを形成している。自分らしくマイペースな人たちが多い気がしていて、とても過ごしやすい街です。

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非日常的な空間で、フラットな気持ちになること

ーーお仕事やプライベートなど、日常で苦境に陥ったときはどのように対処していますか?

仕事自体のトラブルはゴールに向かっている気がするので、そんなに苦にならない。とはいえ、自分に時間的な余裕がなかったり、急務ではないけど考えなくてはいけない中長期的なことを考えるために1週間くらいホテルに籠って、自分と向きあう時間を作るようにしています。

その時は、必ず付箋とデザインの本や写真集などをトランクケース一杯に詰め込んで、ホテルの部屋の中でやりたい事やアイデアを書き出して、ひたすらインプットとアウトプットを繰り返す。そうすると、だんだん気持ちが落ち着いてきて、自分がやることがシンプルに見えてきます。

アウトドアスポーツも効果的です。山に登って天候が荒れて「これ、めちゃくちゃヤバイな」と危機感を覚えてドキドキするような過酷な環境に身を置くこともあれば、安全地帯からそういう危険な山を見上げる場合もあります。

普段は、都市で起きていることで頭が一杯になってしまいますが、自然のど真ん中に置かれるとフラットな気持ちになれる。そんな非日常的な時間も大事にしています。

「自分らしく仕事をする」ことが大事

ーー山口さんのように、好きなことを仕事にするにはどうすればよいのでしょうか?

僕の場合、好きなことが突然仕事になったわけではなく、どちらかというと自分がやっていることを、少しずつ好きなことに融合していったんだと思います。

コーヒーを入れるのが好きだからカフェを開くとかではなく、どんな職場でも、常に自分らしくいれる場所を求めていました。それは、人から与えられるものでもなく、自分でそういう環境を作ってきたように思います。

――「自分らしく仕事をする」とは、具体的にはどういう状態ですか?

無理をして自分をその環境に合わせて取り繕ったり、本音は違うけど建前で生きたりすることはしない。ストレスやモヤモヤを放置しない。そうやって、常に自分に正直であり続けることができてはじめて、真剣に仕事に取り組めるようになれるのではないでしょうか。

もちろん仕事は苦しい状況があるのは当然だけれど、「自分らしくいられるためには、この苦しさを経験した方がいい」と自分が納得した状態で、乗り越えるべきだと思います。

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まずは、自分がいる環境を見つめてみる

コロナ禍で「リモートワーク」や「ワーケーション」という言葉が一気に普及しているけれど、既存の働き方や環境に満足している人はそのままでいいんじゃないかな。

企業やフリーランスとか、いろんな選択肢があった方がいいですが、まずは自分が所属している環境の中で、最大限まで自分らしくいられるチャレンジをするべきだと思います。そういう場が会社内で作れないのであれば、第三のコミュニティに顔を出してみたり、副業を始めてみたりして、環境には囚われずに自分らしくいられることを追求するのが良いのではないかと個人的には思います。

理想的な働き方のゴールはない

ーー社会人になってから常に、自由な「働き方」を追求してきた山口さんの、今後の展開は?

僕の中では、理想的な働き方のゴールはないんです。

働いていると、いい時もあればバランスが崩れることもある。社会の中で生きている以上、仕事で関わる人たちだけでなく、家族や友人、パートナーとの関わりも多かれ少なかれ影響しているし、自分が病気になることもあるだろうし、社会情勢も変化していく。

そんな様々な状況の変化に適合しながら、「暮らす・遊ぶ・働く」をシームレスに楽しんでいくことを追求していきます。

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よりよく働くためには?

「暮らすこと、遊ぶこと、働くこと」が一直線上にあり、都会でも自然の中でもいつも自分に正直であり続け、アウトドアも仕事も本気で愛し、真剣に取り組む山口さん。

働き方が見直されつつある昨今、よりよく働くためにどうすればいいか?

その答えは、転職する、フリーランスになる、テレワークする、労働時間を増減するなど、目に見える物理的な環境を変えるのではなく、「自分らしさを追求する」ことにあるようです。

そのためには、既存の環境の中でアクションを起こし、新たなコミュニティを開拓すること。そして時には非日常を体感して、真剣に仕事ができる状態に心身を調整する。

それは仕事に限らず、変化する社会の中で、よりハッピーに生き抜くための秘訣なのかもしれません。

TRAIL HEADS
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1丁目31-10 101
お問い合わせ:info@trailheads.jp
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