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ひとりひとりの知識と経験をつなぎ合わせて、やりたい事を叶える。こんにゃく寿司とかき氷のお店「KON」プロデューサー&刺繍作家・小林モー子さん

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代々木上原から少し歩いて坂を上った閑静な住宅街で、どことなく下町の雰囲気も漂っている西原商店街。

その一角にたたずむ古民家に、2020年秋、こんにゃく寿司とかき氷のお店「KON(コン)」がオープンしました。

「こんにゃく寿司」と「かき氷」……?

なんともユニークすぎる組み合わせで、一度聞いたら忘れられない話題のお店「KON」を手がけたのは、日本とフランスの2拠点で活動する刺繍作家・小林モー子さん。

今回は、気になる”こんにゃく寿司”から、古民家「KON」の創業秘話、クリエイターとしての活動まで、刺繍作家の小林モー子さんに注目してみました。

オートクチュール刺繍に惹かれて、渡仏。

――まずは、小林さんが刺繍作家になった経緯を教えてください。

もともと手芸が好きで、ファッション系の仕事に就きたくて文化服装学院へ進学しました。当時、パターン(衣服制作のための型紙)がCAD(ソフト)に移行する時期だったのですが、私は実際に手を動かして制作したいタイプ 。どうやって作られているのか、簡単に想像できないほどの巧妙なテクニックが必要な刺繍に惹かれていったんです。

卒業後はアパレルメーカーにてパタンナーとして数年勤務した後、パリで刺繍を学ぶために1年間分の資金を貯めて2004 年に渡仏。Ecole Lesage broderie d’Art(メゾン ルザージュ公式刺繍学校)でオートクチュール刺繍の技術を学びました。

刺繍自体は1年間で習得できたけれど、フランス語をはじめパリの文化や人間関係を深堀りしたくなって、しばらくパリに滞在することになり、その後、パリ在住の画家・大月雄二郎氏とのコラボレーション作品の制作や、ウエディングドレスのアトリエで刺繍を担当したりして、最終的には7年間をパリで過ごしました。

ブログ発信がパリと日本をつなぐ

――刺繍作家としての活動拠点をパリから、日本へ移されたのはなぜですか?

その後、パリでの刺繍活動に関して、自身のブログを通して発信していたところ、日本に住んでいる読者から「日本でも刺繍教室を開いてください!」という要望を多数いただいたことや、パリに住む友人のご縁で新宿伊勢丹本店でポップアップストアのお話を頂いたりする中で、刺繍活動の場を日本に移すことを考えはじめました。

2010年秋、帰国と同時にアトリエ「maison des perles」でのオートクチュール刺繍教室を開校。さらにアクセサリーブランド Môko Kobayashiを立ち上げて、企業広告や雑誌へ作品を提供したりして、刺繍アクセサリーの制作を本格的にスタートしました。

いつもの道で、直感的に惹かれた古民家

――ここ、西原商店街にたたずむ古民家に、「KON」をオープンしたきっかけは何だったのでしょうか?

昨年3月のある日、アトリエのそばにある素敵な古民家を見つけました。アトリエを移転してから毎日見ているはずの西原商店街にこんな素敵な建物が手付かずで残ってる。

せっかく見つけた素晴らしい物件なんとか使い道がないかと考えた結果、以前より熊本に出張の際、お土産でいただく”こんにゃく寿司”をこの古民家で再現できたらと思いが強くなり、暖簾をかけているイメージも浮かんできました。

その日のうちに物件を扱う不動産を紹介してもらい、翌日に大家さんに直談判。今まで5年間この物件の前を通っていて全く気にしなかったのに、その日だけは不思議な直感が働いたんです!

阿蘇小国 “こんにゃく寿司”との出会い

――「KON」のグランドメニューとして、”こんにゃく寿司”を選んだのはなぜですか?

パリ時代の友人が熊本県阿蘇の山中で「Tien Tien」というカフェのオーナーを営んでいるんですが、熊本震災の時に、被災した彼女のために何かお手伝いできないかと考え、彼女のカフェで毎年ポップアップストアの出店を始めました。

出店で阿蘇に滞在中、小国に住むお客様が”こんにゃく寿司”を持ってきてくださったのが”こんにゃく寿司”との出会いです。こんにゃくとお寿司という組み合わせに驚き、程よい酸味で食べ応えのある美味しさに惹かれ、見た目もすごく上品で”おもたせ”にもピッタリ。

でも日持ちしないので、なかなか食べたことがある人がいない。だから「もし東京でも食べられることができたら、多くの人に”こんにゃく寿司”の美味しさを広めたい」という気持ちが前々からあったんです。

それから「KON」のメインメニューとして、友人の彼女(山田真由美さん/Tien Tienオーナー)に監修をお願いして、小国の”こんにゃく寿司”の伝統的な調理法を守りつつ、オリジナルの”こんにゃく寿司レシピを考案してもらいました。

見かけの面白さと味のバランス

――もうひとつのグランドメニューとして、 “季節のかき氷”を選んだ理由はなんですか?

最初はお店の商品としてではなく、暑い夏仕事中や友人と食べれる「お酒のかき氷があればいいのになあ」とふと思い立ったのがきっかけです。アトリエに業務用のかき氷機を買ったのですが、正式な使い方もわからず美味しいかき氷を作ることができなくて…。

「どうせならプロフェッショナルな人に教えてもらいたい!」と戦略を転換してかき氷の人気店を食べ歩いて、渋谷の神山町にある「セバスチャン」に辿り着きました。いろいろかき氷を食べた中でも店主の川又浩さんと出会い意気投合。

川又さんが作ったかき氷は、見かけの面白さと味のバランスが素晴らしく、せっかくなら進行中のこんにゃく寿司プロジェクトにもうひとつのグランドメニューとして参加監修してくれないかと相談したところ。二つ返事で新たなプロジェクトが開始しました。

地域に溶け込むようなお店づくり

――アトリエと「KON」を構える西原商店街は、小林モー子さんにとってどんな街ですか?

西原商店街は昔ながらの雰囲気もあるけど、いいものを知っていてそれを求めてくるお客さんが多い。幡ヶ谷駅や代々木上原駅から少し離れている静かな住宅街で、落ち着いた空気感があります。だからこそ地域に溶け込むようなお店づくりをしていきたいです。

私の一目惚れで決めた「KON」の物件は、目と鼻の先にあるアトリエの1階にある「パドラーズコーヒー」のオーナーで、西原商店会にも精通している松島くんを通じて家主を紹介してもらったんです。彼もこの街を盛り上げるために精力的に活動しているので、開店準備の時もいろいろとサポートしてくれてとても助かりました。

持続可能な運営のために、アライアンスを組むこと

――刺繍作家としての活躍が多忙の中で、どのようにして「KON」を手がけられたのでしょうか?

街にはたくさんの人や店があります。私たちの本業は刺繍です。

商店街にはたくさんの個人店そして日本に帰国してから知り合った沢山の友人たちがいます。食材は商店街の個人店に発注し、わからないことがあればなんでも聞きながら本業の妨げにならないようできる限りその道のプロにお願いする事をモットーに開発を進めました。

良いものを創るために、自分が持っていない知識は、相応しい人たちから与えてもらう掛け算方式を、「KON」の基本的な考え方にしています。プロジェクトごとに、その道のスペシャリストの人たちと協働しながら夢を実現していくことは、フリーランスで働く人が増えている今の時代に合う働き方だと思います。

「KON」らしさを、いろんなカタチで楽しむ

ーー今後、「KON」はどのように展開されていくのでしょうか?

感染症拡大の中、ご来店頂けないお客様にも”KONらしさ”を楽しんでもらえるよう、お持ち帰り商品の充実や、大切な友人にお持たせしたくなるようなストーリーや伝統的な技術会話のきっかけになる商品をEC販売で展開する予定です。

そして「KON」の空間でも、ポップアップとして友人作家さんたちのアクセサリーを販売したり、キッチンも活用して貸し切りパーティーに使ってもらったりと、アトリエとは違う居心地のよい空間をつくって、いろんな人とシェアしていきたいです。

ひとりひとりの知識と経験をつなぎ合わせて、やりたい事を叶える

刺繍作家として多岐に活躍しながら、直感的に一目惚れした古民家にフランス仕込みの感性を詰め込んで、”こんにゃく寿司”とかき氷が食べられる「KON」をつくった小林モー子さん。

小林モー子さんのお話を聞いていると、いつもそばにいてくれる旦那さまをはじめ、アトリエスタッフ、商店街のメンバー、スペシャリストたちまで、さまざまな登場人物から「KON」の物語が紡がれていました。

自分ひとりであれこれ抱えるのではなく、時には周りの人たちに頼りながらやりたい事を叶えていくのが小林モー子さん流。

そんな小林モー子さんが手掛けた「KON」は、まさに、色とりどりのビーズを集めて糸で縫い合わせながらモチーフを完成させる刺繍のように、ひとりひとりの知識と経験をつなぎ合わせた、ひとつの作品のようでした。

 

maison des perles
住所:東京都渋谷区西原2丁目26-5
TEL: 03-6416-8644
HP / Facebook /Instagram

こんにゃく寿司とかき氷のお店  KON
住所:東京都渋谷区西原1丁目14-13
営業時間:11:00~17:00
定休日:月火水
HP / Instagram

※新型コロナウイルス感染症対策のため当面のあいだ、木曜日〜日曜日の週4日営業。

 

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商店街の人たちと共存して、リアルな"コミュニティ"を創り出す「PADDLERS COFFEE」代表・松島大介さん

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