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「上原から、世界初のサービスをつくる」TDMS inc. ペ・ヨンボさん

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代々木上原 QRATES レコード制作や音楽メディアを手がける TDMS inc. ヨンボさん

http://www.beatport.com

デジタルと音楽の可能性を追い求め続けていたからこそたどり着いた、世界初のオンデマンド レコード製造販売サービス

その頃に、DJをやっているカナダ人の友人から「beatport」というサイトを教わりました。当時、レアなレーベルの音源はレコードでしか買えなかったのですが、MP3とかWAV形式で購入できる専門のストアができはじめたんです。まだスタートしたばかりで、欧米では急速に広がりはじめていて。

欧米圏ではそんな動きがあったのですね。

これはすごい、と感動して。同様のサービスを日本で展開するために、2006年に今の会社を立ち上げ、「wasabeat」というオンライン上のクラブミュージック・ストアをオープンしました。

「wasabeat」!きいたことがあるような気がします。

知ってる人もいるとおもいます。当初は音楽業界とのつながりもまったくないところからはじまって、最終的には約8年間で150万曲くらい配信していました。

150万曲!よくぞ8年間でゼロからそこまでやられましたね。

精一杯やっていましたが、正直に言うと、ビジネスとしてはあまりうまくいかなかったんです。海外では、ダウンロードが一時期主流になっていったのですが、日本ではその動きはなくて。SoundCloudApple Music、Spotifyと、ストリーミングの方が主流になっていきました。

確かにここ数年、特にApple MusicSpotifyが目立っていますね。自分も利用していますが、すごく便利だなーと思います。

便利ですよね。一方で、ストリーミングが主流になるにつれて、音楽がますます「手に取れるもの」ではなくなっているのも事実です。

そういえば、CDを買ったりレンタルするという行為をパタっと行わなくなりました。

そうですよね。「wasabeat」で販売していたMP3やWAVでも、少なくともPC内やハードディスクにファイルとして「所有」できるのですが、Apple MusicSpotifyは、月額料金を払わなかったら音源自体が消えてしまうため「所有」しているわけではないんです。

え?あれって、消えちゃうんですか?ダウンロードしたら残るものかと思っていました。

料金を払っていないと聞けなくなるのと、専用のソフト(有料)などを使って変換しない限りは、ダウンロードした楽曲も一定期間を過ぎると消えてしまいます。

えー!そんなに儚いものだとは。

そうなってくると、音楽って、モノとして形にすることが大事なんだなと強く思うようになって。「wasabeat」を運営するなかで、アーティスト側からもレコードをつくりたい、形に残したいという要望を多くきいていたこともあり、ダウンロードの事業をやめて、レコードをつくる事業に転換したのが、2015年になります。

代々木上原 QRATES レコード制作や音楽メディアを手がける TDMS inc. オフィス

TDMS inc.のオフィスには、これまで「QRATES」を利用して制作されたレコードの一部がストックされています。

デジタルからアナログへ、劇的な移行ですね。

一周まわった感じですね。ただ、僕たちはストリーミングを否定しているわけではなく、役割が違うのかなと。Spotifyは、新しい音楽に出会うためのすばらしい装置。いわばラジオの役割です。自分が10代のときにSpotifyがあったら「ここにある音楽、全部聴いてやる!」くらいの勢いで一日中聴きまくっていたと思いますよ(笑)。

ふむふむ。ストリーミングとアナログレコードは別の役割だと

いろいろ聴いてみて、次のステップとして、本当に好きなアーティストや、楽曲と出会ったときに、アナログレコードを購入するような人が増えたらいいなって。アメリカでは、若い世代の人もそういった消費行動になっています。

Apple MusicやSpotifyでダウンロードしたつもりで全然「所有」していないという話をきいて、レコード欲しい!と思いました。

そう思ってくれる人が増えると嬉しいですね。

しかし「QRATES」のサービス自体は、恥ずかしながらこれまで存じ上げておりませんでした…

実はまだ日本であまりプロモーションしていないんです。世界初のサービスなので、リリースしたらすぐに欧米圏の人たちが「待ってました!」とばかりに食いついてくれて。「ついにレコード専門のクラウドファウンディングサービスが出たぞ!」と。

いま利用している方は海外の方がほとんどですか?

ほぼ海外のアーティストで、アメリカとヨーロッパで9割くらい。スタートしてから2年くらいですが、毎月20作品ほど、うちのサービスからレコードが制作され、世界中に届けられています。

 

代々木上原 QRATES を利用して制作されたVULFPECKのレコード

「QRATES」のサービスを利用して制作されたLAのミニマルファンクバンド「VULFPECK」のアナログレコード。「VULFPECK」はSpotifyで無音のアルバム「Sleepify」をリリースし、「寝ている間に再生してほしい」と呼びかけ爆発的な再生数を叩き出しライブ費用を稼ぐなど話題に事欠かないバンド。

>>次ページ:ストリートカルチャーは、ひとつでつながっている

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