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絵描きがカレーをつくったら。「ハルダモンカレー」誕生秘話

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老いも若きも国籍も問わず、カレーってみんなが大好きな食べ物ではないでしょうか?

家庭でマイスタイルのこだわりカレーを追求している方もいるでしょうし、名店と呼ばれるカレー屋めぐりをしている方も少なくないはず。インドカレーや欧風カレーなど、一応ジャンルはあるものの、シーフード、ビーフ、チキン、野菜など、使う食材は幅広いし、甘さ辛さも調整できるという懐の深さがカレーの魅力なのではないかと思うのです。

ああ、今日もカレーが食べたい…。そんなカレー気分の日に足が勝手に向かってしまうお店があります。代々木上原駅すぐの場所にある「ハルダモンカレー」です。

ハルダモンカレーのオーナーシェフ、ハルさん。

2019年4月にオープンしたここは、ダイニングバー「collect(コレクト)」さんを間借りして営業。南口の1番出口を出ると行列ができているお店があれば、そこです。ちなみにACT LOCALLY編集部スタッフたちも「ハルダモンカレー」は大のお気に入り。テイクアウト率、だいぶ高いです。

オープンしてまだ2年ですが、代々木上原住民や常連さんのみならず、遠方からもわざわざ訪れる名店となっている一番の理由は、食べ終わった後にもう一口食べたくなる、心に残る、舌に残る、印象的すぎる「スパイシーな旨味」にあるんじゃないかと個人的に思います。なんというか、毎日食べたくなる、いわゆる「後を引く美味しさ」なんですよね。

今回は、この誰をも虜にするスパイスカレーを生み出したオーナーシェフのハルさんに、「ハルダモンカレー」誕生秘話をはじめ、間借りというスタイルで営業している理由や、ハルさんご自身のことについてじっくりお話を伺いました。


ー早速ですが、お名前がハルさんだから「ハルダモンカレー」なんですね!

そうですそうです。カレー作りに欠かせないスパイスであるカルダモンをモジっています。

「COLLECT」さんを間借りした店内にはスパイスがずらりと並ぶ。

ー毎日行列ができる代々木上原の名店カレー屋さんですが、そもそもこの場所を間借りしてカレー屋さんを開店されるに至った経緯は?

実は僕、絵描きなんですよ。絵を描く仕事もしながら大好きなカレー屋をやるにはどんなスタイルがいいか考えた結果、飲食店を昼間だけ間借りするという形で経営してみようと思ったんです。さらにはもう一つ理由があって、飲食業界の宿命のようなものを変えたいという思いが強かったことも大きいです。僕は今44歳なのですが、18歳で福岡から上京してずっと好きなことをしてきた中で、飲食業界にたずさわることが長かったんですね。基本的に飲食業って労働時間が長いし、夜も遅い業種。この悪環境をクリアする飲食店のスタイルを実現してみたいと思ったんです。僕は代々木上原に住んでいるのですが、間借りできる場所を探していたタイミングで行きつけの店だった「collect」さんが「うちでやらない?」と声をかけてくださって、ありがたかったですね。

ー飲食店の仕事をしながら絵を描く仕事をされていたのですね。

アメリカ料理や魚料理のお店で料理と飲食店のノウハウに触れました。自分で飲み屋を経営していた時代もありましたが、僕お酒が好きすぎて朝まで飲んじゃうので、太陽の光を浴びる健康的なライフスタイルに変えようと30歳の時に店を閉めたんです。それでアートの世界に進みました。その頃出会ったチョークアートは、今でも日本チョークアーティスト協会というところに所属していて、主に飲食店の看板や壁画などの仕事を続けています。

お店にはハルさんの作品が飾られています!独創的な世界観に見入ってしまいますね。

ーカレーを作り始めたのはいつ頃なんですか?

もともとスパイスが好きで、昔から自宅でオリジナルのスパイスカレーを作っていたんです。「一日一カレー」と決めて、毎日違うカレーを作っていました。魚料理屋で出汁のとり方を学んでいたので、スパイスと出汁をミックスをしていくうちにどんどんその奥深い味わいにハマった感じですね。「スパイスカレー」と言っていますが、特に定義はないと思っていて、インドやスリランカの製法をもとに日本人が構築した創作カレーなんですよね。独自性があって、自由なスタイルであることがポイントなので、そこに絵描きの僕としては魅力を感じたんです。一枚の皿に絵を描くように自分の世界観をカレーで表現する。それってめちゃくちゃ面白いなって。

新大久保のイスラム街などで買い付けた食材。アップルピールやジュニパーベリーなど、「こんなの入っているの?」という面白さもハルダモンカレーの魅力。

美味しそうなスパイスの香りにお腹が鳴ります。

ーグリルスパイスチキンカレーやマトンキーマアンドコルマ、牡蠣旨味カレー、カニとホタテのシーフードカレーなどの日替わりメニューに加えて、いくらやパクチー、温泉卵、納豆のトッピングなんかもあって、オーダーに迷ってしまうのですが、これらのメニューはすべてハルさんの創作なのですね!

グルテンフリー、低GIといった身体に優しいカレーをコンセプトに、毎日ABCの3種類出しているのですが、だいたい1週間で5種類くらい作って変えています。その時々の旬の食材や使ってみたい食材を取り入れながら同じものを作らないように心がけています。天候やその日の気分によることも多いですね(笑)。同じ絵を毎日描きたくないという気持ちと同じかな。暑くなってきたからそろそろグリーンカレー作ろうかな〜とか、そんな感じです。魚料理屋では長くお世話になり、今でも仲良くしてもらっていることもあって、シーフードカレーや魚出汁には結構こだわっていますね。一つのカレーに5種類くらいの出汁を使っていたり、10種類以上のハーブを使っていたり、仕込みには時間をかけて丁寧に作っています。いくらに関しては、カレーに合うとか合わないとか考えていなくて、ただ僕が好きだから。でもちゃんと合いますよ(笑)。

一枚のお皿にカレーやアチャールを美しく盛り付けていく。


ー5種類の出汁!!このハルダモンカレーの美味しさの秘訣は出汁の旨味なんですね。ここに来るとやっぱり全部乗せの「あいがけ」をオーダーしてしまいますが、3種のカレーの盛り付けのセンスだけでなく、トッピングのアチャール(インドのお漬物的)も彩り豊かで、カレーもアートになり得るんだ!と驚いてしまいます。

良かったです。料理って自己表現なので、やっていて飽きないので楽しいんですよ。同じカレーでも出てきた時に「わあ!」ってなる方がテンション上がるじゃないですか。器やスプーン一つとっても店主のこだわりが感じられたりとか、うずらの卵がちょこんと乗っていて可愛いなとか、そういう些細なことって大事だと思うんですよね。僕の両親が最近まで喫茶店を経営していたのですが、THE純喫茶な感じの雰囲気で、メロンソーダとかナポリタンとか出てくるんですよね。まずビジュアルでテンションを上げてくれて、さらに食べて美味しい。それって最強だなと子ども心に感じていました。

この日のカレーは、マトンキーマアンドコルマ(左)、しらすとホッキ貝とあさりの魚出汁グリーンカレー(小皿)、無水チキンカレー(右)の3種。上部には、じゃがいものホーリーバジル炒め、紫玉ねぎのチャール、ムング豆とココナッツのサラダ、えびとツブ貝のアチャール。
小皿の右となりはムング豆のダルが。幸せの3種盛りにトッピングも豪華にしてみました!

ローズウォーター入りのハルさん特製チャイは濃厚なロイヤルミルクティーのような味わい。


ーご実家が純喫茶だったのですね!

祖父母はホルモン屋でしたしね(笑)。ホルモンにコーヒー、クリームソーダ、ハンバーグ。辛子明太子に水炊き、豚骨ラーメン。こんなラインナップで育ったので、僕のカレーもパンチあるかもしれません(笑)。

ー2店舗目の予定など、今後の展望をお聞かせください。

昨年の6月頃から目黒の「KERAKU(ケラク)」というカレー屋さんの監修をしています。近いうちに、KERAKUのECサイトで冷凍カレーの販売を計画中ですし、「ハルダモンカレー」のブランドを様々な形で広げていけたら嬉しいなと思っています。僕が描いた絵をTシャツにしたり、グッズもこれから作ろうと思っているので、アーティスト活動とカレー屋を融合させていけたらいいなとも思っています。

ハルさんが描いたオリジナルTシャツ「とりあえずチキンカレー」もいい感じ!

ー最後に、代々木上原の魅力を教えてください。

なんだかんだ住み始めて10年以上になりますが、代々木上原は都会なのに栄え過ぎていないところがちょうどいいですね。若者が騒いでいるわけでもないし、どのお店の店主も気取っていない感じが田舎出身の僕にはちょうどいいんです。オフの日はスパイスや食材の買い付けをしているのですが、それこそ東京ジャーミーのハラールマーケットで食材を買うことも。あと犬を飼っているので、代々木公園も近いし、散歩が気持ち良いのも魅力だと思います。

優しくて穏やかなハルさんの人柄も魅力です!

ハルダモンカレー

住所:東京都渋谷区上原1-33-12(ダイニングバー「collect」の間借り営業)
営業時間:月、木、金、土、日の11:30〜15:00(売り切れ次第終了)、月曜のみ18:00〜20:00まで夜営業有り。
✳︎基本は上記ですが、変更ありの為ご来店前にInstagramを確認下さい。
定休日:火、水
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