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代々木上原で異国を体験!モスク「東京ジャーミイ」でイスラーム教の魅力を発見しよう

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代々木上原の観光スポットとして人気上昇中!イスラーム教礼拝堂モスク

代々木上原駅から数分歩くと、井の頭通り沿いに圧巻の造形美と存在感を放つ建物がそびえ立っているのを見たことがある人も多いはず。

それが「東京ジャーミイ」というイスラーム教の礼拝堂、モスク。日本最大級のこのモスクは、日本国内に住んでいるイスラム教徒が礼拝のために訪れる聖なる場所です。

また近年では、イスラーム教徒だけではなく、イスラーム文化を知りたいと見学する人や、異国情緒あふれるモスクの建築はインスタ映えするため、来訪する日本人も年々増えていて、代々木上原の観光地として注目されているようです。

そこで、自らイスラーム教徒としてこのモスクの広報を担当している下山さんから、モスクの楽しみ方とイスラム教の魅力を教えてもらいました。

日本人イスラーム教徒として、モスクの魅力を伝える下山さん

代々木上原,東京ジャーミィ,モスク

東京ジャーミイの広報として、モスクを訪れた人をおもてなししている下山茂さん(70才)が、イスラーム教に改宗したのは27才の時。

早稲田大学の探検部の一員として、アフリカのナイル川流域を調査し、帰国後もイスラーム教徒の留学生たちと交流していくうちに、寛容でホスピタリティあふれるイスラムの教えに感銘を受けたことが、イスラーム教に入信したきっかけ。

「イスラームの人と毎日付き合っていくうちに兄弟のような関係になり、国境を超えた人と人との絆が強い素晴らしい宗教だと思った」と下山さん。

大学卒業後、イスラーム教徒になった下山さんは出版社勤務を経てフリーになり、2001年の9.11アメリカ同時多発テロでイスラム教は逆風に立たされると思い「イスラームは誤解されてはいけない」と、このモスクの出版物を手伝いはじめました。その後、8年前から広報担当として、モスクを通してイスラーム教を正しく理解してもらうための活動を精力的に行っています。

代々木上原は、牧場がある上の原っぱだった

長年、代々木上原で暮らしている下山さんによると、明治時代の頃は牧場がある上の原っぱだったようです。また箱根を開発した不動産屋が所持する分譲住宅が多く並び、戦前からの古い石積みの景観も美しかったとか。

「代々木上原は坂を楽しむ街。風景も坂の上から眺めたり、下って別の景色を見たりして楽しめる、変化に富んだ街ですよ!」と現在の代々木上原の魅力も教えてくれました。

どうして代々木上原にモスクがあるのか?

代々木上原のモスク「東京ジャーミイ」は、その前身「東京回教礼拝堂」が1938年(昭和13年)に建設。

ロシア革命(1917年)で、「宗教は悪」とした共産主義の赤軍によって迫害を受けたイスラーム教徒が日本に渡り、その多くが渋谷区内に住んだため、この代々木上原にモスクを創って遥かロシアから移住してきた人々の心の拠りどころとなったようです。

トルコのモスクを忠実に再現

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1986年、モスクは老朽化により取り壊され、その後トルコなどから莫大な資金が集まり、有名なトルコ人建築家と約100人もの職人たちによって、2000年にオスマン帝国の伝統を継ぐモスクが再現されました。

水、コンクリート、鉄を除く全ての建築材料からシャンデリア、椅子・テーブルなどのインテリアまで、わざわざトルコなどから運んできたそうです!

異文化を理解するのに最適な場所

イスラーム教徒として礼拝に来るのは、トルコやアラブ、アフリカ諸国をはじめ、マレーシア、インドネシア、タイなど東南アジア地域出身のイスラム教徒が多いようです。

日本人の来訪者の中では、特に中高大学生が急増中。マレーシアへ修学旅行をする高校生が事前学習としてイスラーム教について勉強をしに来たり、東京へ修学旅行に来た学生が観光に来ることも。

「教育とメディアは重要。ここは、イスラームという異文化を理解してもらうのに最適な場所だと思います」と下山さんは語っていました。

イスラーム教を理解してもらうには、まず近隣の人たちと良い関係を築くことが大切

代々木上原にモスクができた当初は、地元の小学生たちが写生に来たり、放課後遊びに来る場所だったそう。いっぽうで、大人たちは「見慣れない宗教のお寺」として、モスクに入ったりイスラーム教徒の人たちと関わりを持つことはなかったようです。

そこで下山さんは、立派な世界宗教であるイスラーム教を理解してもらうために、まずは地域の人たちと日常生活から関わりを持つことからはじめようと考えています。

「大山町の女性サロンの皆さんにはモスクに見学に来てもらっています。でも『イスラームを理解してもらいましょう』ではなく、食事会に招いたり、道路ですれちがったら挨拶をしたり、駐車のマナー、ゴミの出し方、騒音などに気を遣いながら、住民の皆さんとよい関係を築いていきたい」と下山さんは語っていました。

あの、元世界ヘビー級チャンピオン・モハメド・アリも訪れた

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東京ジャーミイには、元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリも訪れたのだそうです!

両親ともにクリスチャンだったアリは、ローマオリンピックで金メダルを獲得し故郷アメリカのレストランに入った際に「ニガー(黒人)は入店できない」と差別されたのをきっかけに、イスラームでは肌の色で差別しないと知り、イスラーム教徒になったことはファンの間では有名な話。

日本で行われたタイトルマッチの前に、スーツとネクタイを身に付けて金曜礼拝に2度も訪れ、真剣な表情で神に祈っていました。

モスクから発見できる、イスラーム教の魅力

モスクには、イスラーム教の教えがいたるところに散りばめられています。訪れる前に見どころポイントを知っておくと、さらに見学が楽しくなり、イスラーム教の魅力を発見できます!

■外壁

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まずは外壁。入り口の左側に、美しい細工で縁取られた蛇口を発見。これは、トルコ語でチェシメ(泉)と呼ばれる場所で、モスクに行くと牛や馬も水が飲めるということを意味しているそうです。また、屋根の縁には中央に穴が空いた人工の鳥の巣が4つ施されています。

モスクは「シェルター」とも呼ばれていて、それは礼拝に来た人たちだけでなく、鳥や他の生き物も「休んで行きなさい」という意味があるから。人間も他の生き物もみんな同じ「神の作品」で、等しい存在ということを意味しているのです。

■ステンドグラス

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内観の一番の見どころは、自然光を受けて鮮やかに光り輝くステンドグラス。太陽の向きによって、少しづつ光り方や色も変化するので一日中眺めていられそう。

キリスト教会と違って壁面にマリア像など人物を描いていないのは、人間がそれらを間違って崇拝の対象としかねないからです。神教のイスラーム教ではそれを偶像崇拝禁止といいます。

■シャンデリア

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礼拝堂の天井を見上げ、ど真ん中に吊るされている大きなシャンデリアは大迫力!シャンデリアの真下から見上げると、“雪の結晶”のような六角形に見えます。

■チューリップ

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壁面やインテリアの壺など、ところどころにチューリップの絵が描かれています。その理由は、チューリップはイスラーム世界の花だから。

モスクに描かれているのは、オランダがチューリップの美しさに注目し世界に売り出すため品種改良する前の、原種に近いチューリップ。これらのチューリップが、いくつあるのか探してみるのもオススメです。

■礼拝

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礼拝は、神を讃え感謝すること。イスラーム教徒は、メッカの方角を向いてお祈りをします。礼拝の様子を見てわかるように、横一列になって拝んでいるのが特徴。

「イスラームの人たちは大統領から運転手まで、皮膚の色や民族、貧富、社会的な肩書きを超えて人間は平等という教えを強く説きます。日本では、社会に出ると、縦の序列はあっても横一列になることは少ないでしょう」と下山さん。

礼拝中に床に額をつける行為は、自分の小ささ、弱さを表明していること。人間は弱さを認めてはじめて強くなれ、人の弱さもわかるから助け合うのです。

今年のラマダン(断食月)は5月6日から始まり6月3日に終わり、その翌日、断食明けの祝祭”イード”の礼拝が、1,000人以上もの信者を集めて東京ジャーミイで盛大に行われました。その礼拝の様子から、世界三大宗教イスラーム教の偉大さを感じることができます。

実は身近にあった!イスラーム文化が発明したモノ

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イスラーム教の国々が発明したモノが記されている世界地図。アラビア数字、カメラ、コーヒー、水道の蛇口、手術器具…なんとルービックキューブまで!

イスラーム文化が生みだした数々の発明が私たちの日常生活の中で活かされ、支えてくれていることがわかります。

見学ツアーやイベントに参加して、イスラーム文化を体験!

開館中は、無料で館内を見学することができますが、イスラーム教についてもっと深く知りたい人は、下山さんが案内する見学ツアーや、イベントに参加するのもオススメ。

■見学ツアー

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土曜日と日曜日には、14:30から下山さんがモスクの館内を案内しながら、イスラーム教について解説したり礼拝の様子を見学できるツアーを実施しています。

自らイスラーム教徒である下山さんのお話は、YouTubeやニコニコ動画で中継され好評を得たこともあるくらい、ユニークで説得力もあって一見の価値あり!予約は不要なので、気軽に参加してみましょう。

■ラマダン(断食月)

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ラマダンは「厳しい断食」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、どうやら誤解だったようです。

ラマダン(断食月)の正確な意味は、夜明け前から日没まですべての飲食や他の欲望を断つこと。ちなみに英語で「朝食」を意味する”Breakfast”は二つの言葉からなっており、”Break”は「破る」、”fast”は”fasting”「断食」、合わせて「断食を破る」という意味から来ているのです。

「断食をすることによって、何よりもまず忍耐力を身につけます。動物たちはえさを前にして我慢しません。忍耐や我慢は人間だけが身につけている素晴らしい特性なのです。だから、夜明け前から断食をして午後になるとかなりお腹が空きます。そうすると、貧しくて食べることができない世界中の人々の苦しみがわかります。神は私たちに『救いの手を差し伸べなさい』と教えているのです」と下山さんは語っていました。

また、日没と同時にその日の断食は終わり、まず水を飲み、なつめ椰子の実を食べ”イフタール”という食事を取ります。何も食べす水も飲んでいないため、この水やパンが美味しく感じるんだそう。ここで神は「一杯の水が飲め、一切れのパンを口に運ぶことができることを感謝しなさい」と教えているのです。

東京ジャーミイではイスタンブールからシェフが来て、トルコ料理”イフタール”の食事を400人分作り、参加者全員が一緒に食べます。みんなで分かち合って食べることで、美味しさが増してくるようです。

ショップでハラールの食材を調達することも可能

今年5月にニューオープンした、ハラールショップがモスクに併設。ここでは、お菓子やジュースから精肉、調味料まで、トルコやインドネシア、マレーシアのさまざなな食材を購入することができます。

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「ハラール」とは、イスラーム法上で食べることが許されている食材や料理を指します。ハラール認証済みの精肉も販売。

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料理が苦手な人は、レトルト食を買って手軽にイスラーム料理を味わってみて。

異文化の歴史や文化を五感で楽しもう!

このモスク「東京ジャーミイ」では、見学することもできるし、無料のツアーやイベントに参加したり、ハラール・マーケットでトルコ料理の食材を調達するなど、楽しみ方はいろいろ。

代々木上原で美味しいレストランやおしゃれなカフェに行ったついでに、この美しいモスクに寄って、異国の歴史や文化に五感で触れてみてはいかかですか。

東京の中心地・代々木上原の街にランドマークのように立つモスクの美しさや、イスラーム教に関する講座や文化活動の様子が一目でわかる動画も一見の価値あり!

 

東京ジャーミイ・トルコ文化センター
https://tokyocamii.org/
住所:東京都渋谷区大山町1−19
電話番号:03-5790-0760
開館日:年中無休
※土日祝日と年末年始も通常通り開館
開館時間:10:00 ~ 18:00
※礼拝時間中も見学可、金曜のみ一般の見学は14時から18時まで。

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